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オタクが斬る!
5人のオタク、あらわる
消費研究チーム


 シリーズ オタクが斬る!
 第1回 5人のオタク、あらわる
 第2回 Tivoを斬る 全米で300万世帯が加入したサービスが日本に上陸する
 第3回 VAIO TypeXを斬る 本当の訴求ポイントは、別のところにある!



1.「消費のプロ」である「オタク」的消費者
オタクの街、秋葉原
 「オタク」といえば、アニメやゲーム、フィギュアなどにお金と時間をつぎ込む、マニアックな人たちのことを差していた。新人類世代の彼らが元祖「オタク」なら、弊社が「オタク」と呼ぶ消費者は「消費のプロ」である。70年代生まれの団塊ジュニア世代と、ポストバブル世代を中心とした世代の約20%近くを占めている彼らは、販売員より詳しい商品知識と豊富な情報を持ち、自分なりの選択基準やポリシーの下、意欲的な消費活動を行う。積極的に情報を集めており、商品について人からよく意見を求められることからクチコミなどによる他者への影響力も大きく、市場をリードするターゲットセグメントであると考えられる(「オタク」化する消費‐1,000万人のオタクパワー参照)。
 調査によると、「オタク」化が最も進んでいる分野は情報通信機器や関連サービスで、次が音楽となっていることから、弊社ではこのたび情報家電分野における「オタク」的消費者のパネル化を試みた。オタクパネルはふたつの消費者層で構成されており、所有機器が平均を上回る「一般オタク」と、高い消費意識を持ち、所有機器が平均を異常に上回る「超オタク」で、前者からは市場における需要規模が予測でき、後者からは先進的ニーズが把握できると考えている。
 今回、5名の「超オタク」の方々に協力いただき、インタビューを行った。そして、情報家電の利用方法やコンテンツ視聴のスタイルなどについて、リアルなお話を伺うことができた。さらに、情報家電市場で今後話題となりそうな商品やサービスについて、感想や評価など貴重な意見を聞くことができ、情報家電市場における最先端のニーズを垣間見ることができたと考えている。

2.情報家電分野における「オタク」、ふたつのタイプ
オタク的消費者プロフィール
(クリックするとそれぞれのプロフィールが表示されます)
 5名のオタクは、大きくふたつのタイプに分類できる。「コンテンツ志向/視聴環境重視」派と「ハード志向/使いこなし優先」派である。前者にはCさん、Eさんが該当し、後者にはAさん、Bさん、Dさんが該当する。
 「コンテンツ志向/視聴環境重視」派は、自分が見たいコンテンツを好きな時に見ることができるかどうかが機器選択の基準となっている。映画やドキュメンタリー、ドラマが多く、バラエティ番組などは対象となっていない。例えば、Cさんのコクーン購入動機は、『スカパー!』の録画予約に対応できていたのがコクーンだけだったという理由であり、コンテンツが購入を決定づけている。また、録画した番組をDVDに焼かずにセルDVDで揃えていることからも、コンテンツ志向がうかがえる。一方のEさんは、ご夫婦で好みの違いを満足させるために、それぞれ独立したAV空間を使い分けており、さらにコンテンツに合わせて機器を特化させている。
 「ハード志向/使いこなし優先」派は、見たい番組の録画から視聴までを理想的な環境で行うために、機器やインターネットを使いこなすことに熱心である。Aさんは多数の番組録画を確実に行うために、使い勝手のよいHDD内蔵DVDレコーダーを選択し、PCからインターネットで番組予約を行う方法を採用している。Bさんが録り漏らしをしないために、HDD内蔵DVDレコーダーを3台揃えているのも、同じような理由からであると考えられる。

 見たいコンテンツを、いつでも好きな時に、よりよい環境で楽しみたいという欲求は、「オタク」だけのものではない。誰でも同じ欲求を持っているのだが、生活環境、メディアやハードウェアなどの制約により、それが叶わないのである。しかし「オタク」たちは、熱意と創意工夫でそれを可能な限り実現している。彼らが満足するハードウェアやサービスは(コストの問題がクリアされれば)誰にでも受け入れられる要素を持ち、潜在的需要が大きいと考えてよいと思われる。
 弊社では今回、情報家電の先進的利用者層でもあり、高水準のストック型視聴者層でもある、5名の「オタク」にインタビューを行い、視聴スタイルや機器の使いこなしを紹介した。また、情報家電分野において、今後注目を集めると思われている商品やサービスについて、別途詳細なインタビューを行っており、「オタク」たちの意見を参考にしながらヒットの可能性を探っていく予定である。  第一回は、全米で大ヒットしている番組検索/録画サービスのTiVoについてレポートする。

 弊社では、情報家電の先進的利用者層でもあり、かつ、高水準のストック型視聴者層でもある「情報家電オタク」に対しインタビューを実施し、情報家電分野において今後注目を集めると目される商品・サービスついて彼らからうかがった忌憚のない意見をもとに、それぞれのヒットの可能性を占ってみた。
 第一回は、全米で大ヒットしている番組検索・録画サービスのTiVoについてレポートする。


本稿は当社代表・松田久一、並びに、消費研究チームのメンバーからの貴重な助言のもとに執筆されました。ここに謝意を表します。あり得べき誤りは筆者の責に帰します。

(2005.6)

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