半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2015.03)
ブルーボトルに対抗するスターバックスの新たな挑戦

スターバックスの復活と新たな時代への挑戦
マルチフォーマットは成功するか
戦略研究チーム

本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。
ご利用には有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
ご登録はこちらをご覧ください。

 スターバックスは、コーヒー豆販売の専門店として、1971年シアトルにオープンした。

 当初、飲食サービスは提供していなかったが、1982年に現在のCEOであるハワード・シュルツが、小売・マーケティング担当役員として入社して以降、カフェ業態に転換した。

 飲食サービスに反対していた創業陣に反発し、シュルツは一度独立し、イル・ジョルナーレというイタリアン・エスプレッソ・バーを開業した。その後、イル・ジョルナーレがスターバックスを買収することで、カフェとして新生スターバックスが誕生した。

 全世界に21,366店舗(2014年度末)を展開する外食の巨人となった同社を分析した。


1.第三の生活空間「サードプレイス」提供による急成長(1987年~2004年)

 90年代半ばまでのアメリカには、自宅以外で、友人との歓談や、読書をするような場所が少なかった。コーヒーショップはあったが、安物のコーヒーを飲む場所で、あまり文化的な場所ではなかった。自宅でも職場でもなく、歓談やリラックスができるような生活空間を、スターバックスは「サードプレイス」と呼び、スターバックスが顧客にとっての「サードプレイス」になることを目指してきた。スターバックスは、高品質なコーヒーと「サードプレイス」を提供することで成長してきた。

 差別的な「サードプレイス」を提供するために、スターバックスは四つの点に注力した。

 一点目は、いうまでもなくコーヒーへのこだわりだ。

 それまで安い飲み物というイメージだったコーヒーを、豆の種類や原産地、煎り方までこだわった。

 二点目は、店の内装へのこだわりだ。

 土地や一戸建ての店舗を自己所有していなかった初期のスターバックスは、一軒ずつ店舗デザイン設計を考え直していた。それでいてどの店もスターバックスだと分かるよう、ごく初期の段階から専属のデザイナーと建築家のチームを持ち、カップ、ナプキン、壁など、あらゆるデザインを統一した。

 三点目が、バリスタの育成だ。

 ハワード・シュルツは、入社初期にミラノで知ったエスプレッソ・バーに衝撃を受けた。コーヒーがおいしく、バーが人々の生活に溶け込み、知識豊富なバリスタが顧客から敬意を持たれていたからだ。

 彼はこの経験から、店舗での顧客満足のためには、バリスタと顧客の良好な関係が重要であると考えた。そこで、バリスタの多くを占めるパートタイマーに対しても健康保険制度を設け、充実した研修を受けさせるなど、店舗従業員を大切にする方針を、ごく初期から堅持した。

 これにより、スターバックスのバリスタは、十把一絡げに語られるような飲食店のパートタイム従業員とは異なり、質が高いという評判を得た。

 四点目が、直営にこだわったことだ。

 店舗イメージやコーヒー品質を高水準に保つため、基本的にFCは受け付けず、直営店舗として運営した。直営で店舗を開けない場所については、有名ホテルや百貨店など、スターバックスのブランドを損なわない場所でのみ許可した。その場合も、スターバックスのバリスタと同じ研修を受けてもらい、厳しい品質保持契約を結んだ。

 上記により、スターバックスは、それまでのアメリカになかった、特別な雰囲気の中で高品質なコーヒーが飲める「サードプレイス」として、店舗数と売上を急拡大していった。92年の上場からシュルツ退任の2000年まで、スターバックスの年平均成長率は実に49%に達した。


>> その後の低迷と復活、そしてブルーボトルなどの「サードウェーブ」に対抗する
スターバックスの新時代の挑戦とは? 【続きを読む】(有料会員向け)


参照コンテンツ


業界の業績と戦略を比較分析する


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


新着記事

2024.09.19

企業活動分析 永谷園は24年3月期、創業70周年を増収増益で飾る お茶漬けなど好調で

2024.09.18

企業活動分析 三菱食品の24年3月期は人流回復などで増収、3期連続過去最高益更新

2024.09.17

企業活動分析 わらべや日洋HD 24年2月期の営業利益は過去最高の増収増益

2024.09.13

成長市場を探せ V字回復で2年連続過去最高更新の炭酸飲料(2024年)

2024.09.12

24年7月の「消費支出」は3ヶ月連続のマイナスに

2024.09.12

24年7月の「家計収入」は3ヶ月連続のプラス

2024.09.11

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 「紅麹サプリ問題」認知率は86%! 消費者の健康食品選びに変化

2024.09.11

24年6月の「現金給与総額」は30ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.09.10

24年7月は「完全失業率」は悪化、「有効求人倍率」は改善

2024.09.09

企業活動分析 ヤクルト本社の24年3月期は国内好調維持するもアジアの不振で増収減益に

2024.09.09

日本マクドナルドHD23年12月期は全店売上高、利益が過去最高を更新し増収増益へ

2024.09.06

企業活動分析 エスティローダーの23年6月期は、トラベルリテールの不調やドル高、インフレなどが響き減収減益に

2024.09.06

消費者調査データ 茶飲料(2024年9月版) 抜群の強さ「お~いお茶」、大手3ブランドが熾烈な2位争い

2024.09.05

24年8月の「乗用車販売台数」はふたたびマイナスに

2024.09.04

企業活動分析 ロイヤルホールディングス株式会社 23年12月期は人流増加で需要回復、増収増益に

2024.09.03

24年7月の「新設住宅着工戸数」は3ヶ月連続のマイナス

2024.09.02

企業活動分析 株式会社サイゼリヤ 23年8月期はアジア新規出店がけん引し増収増益

2024.08.30

月例消費レポート 2024年8月号 消費は緩やかながらも改善の動きが続いている-内需主導での景気回復への期待感

2024.08.30

消費からみた景気指標 24年6月は6項目が改善

2024.08.30

24年7月の「ファーストフード売上高」は41ヶ月連続のプラスに

2024.08.30

24年7月の「ファミリーレストラン売上高」は29ヶ月連続プラス

2024.08.29

24年6月の「旅行業者取扱高」は19年比で73%に

週間アクセスランキング

1位 2024.09.11

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 「紅麹サプリ問題」認知率は86%! 消費者の健康食品選びに変化

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

4位 2023.09.22

消費者調査データ No.392 無糖茶(2023年9月版) 全項目首位の「お~いお茶」、激しい2位争い

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area