一杯のコーヒーを巡る競争が激化している。「コンビニコーヒー」と「家庭向けコーヒー」の台頭で、近年喫茶店市場を取り巻く環境は、より厳しさを増しているのである。コンビニコーヒーは、市場規模は2014年が1,756億円と、前年比で152.8%の急成長を遂げている。中でも、セブンイレブン-ジャパンは14年12月に「セブンカフェ」の年間販売目標を、従来の6億杯から7億杯へと上方修正しており、同社の業績を牽引するヒット商品となっている。一方、家庭向けコーヒーでは、ネスレのコーヒーマシン「ネスカフェゴールドブレンドバリスタ」が、2014年5月に国内累計販売台数200万台を突破したと発表した。
このように異業種から攻め込まれ、長期縮小トレンドが続いてきた喫茶店市場だが、ここ数年は幅広い食事メニューやゆったりとくつろげる空間の提供などが人気となって、再び回復に向かい始めている 。
"勝者なきセルフ式コーヒーチェーン店の競争"でも取り上げたが、喫茶店市場は1982年の1兆7,396億円をピークに年々減少を続け、2011年では1兆182億円とピーク時から4割以上も減少してきたが、2013年には1兆602億円と上昇に転じているのである。
その牽引役が、フルサービス型喫茶店である。1990年代以降、急速に増えたセルフサービス式のカフェとは対照的に、珈琲そのものの味を楽しむよりも、思い思いにくつろげる昭和の喫茶店に近い雰囲気が魅力となっている。短時間で多くの客を取り込み、利益を追求してきた外食産業が見落としていた商機を掘り当てた。「フルサービス型喫茶店」がシニア社会の主流の外食店になるとにらみ、大手の参入も相次いでいる。
参照コンテンツ
- 戦略ケース コーヒーチェーン競争の行方 進む異業種とのボーダレス化(2018年)
- 消費者調査データ コーヒーチェーン(2018年3月版) スターバックス独走に陰りか?ドトールとサードウェーブの追撃
- 戦略ケース なぜ今"昭和型"コーヒーチェーンが増えているのか(2015年)
- 戦略ケース スターバックスの復活と新たな時代への挑戦(2015年)
- 企業活動分析 スターバックスコーヒージャパン
- 企業活動分析 ドトール日レスホールディングス
業界の業績と戦略を比較分析する
おすすめ新着記事

消費者調査データ トップは「ドライゼロ」、2位を争う「オールフリー」「のんある気分」
アップトレンドが続くノンアルコール飲料。調査結果は「アサヒ ドライゼロ」が首位を獲得、上位にはビールテイストが目立つなかで、「のんある気分」が健闘している。再購入意向では10位内にワインテイストやカクテルテイストの商品も食い込み、ジャンルとしての広がりを感じさせる。

消費者調査データ RTD(2025年3月版) 「氷結」、「ほろよい」の競り合い続く アサヒの新顔は高いリピート意向
調査で結果は「氷結」が半歩抜け出し、それを「ほろよい」が追う形となった。上位にはロングセラーが目立つが、再購入意向では「アサヒ GINON」が3位に食い込んだ。大ヒットしたレモンサワーに加え、お茶やウメなどのフレーバーの台頭、ベース酒の多様化など新たな競争が生まれている。

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 清貧・ゆとり世代が消費を牽引!賞与の使い道は?
近年賃金上昇の流れが広がるなかで、今年の消費を占う意味でも冬季賞与への関心が高まっていた。そこで、冬季賞与がどのように使われているか、「103万円の壁」の問題がどの程度関心を持たれているかを調査した。



