YMYLとは「Your Money or Your Life」の略で、「人々のお金や健康など、生活に影響する」記事ジャンルを指す。主にSEOで使われる用語で、検索におけるGoogleの評価基準「検索品質評価ガイドライン」にも項目として定められている。
Googleの定義では
人々の将来の幸福や健康、お金、安全に影響を与える可能性のあるトピックや記事
としている。
同ガイドラインでは、以下の7領域がYMYLに該当すると定義されている。
- ニュース・時事:国際問題やビジネス、政治、科学、技術など
- 公民・政府、法律:選挙や公的機関、社会福祉、離婚や親権に関する法律など
- 金融:投資や税金、年金、ローン、貯蓄、保険、決済など
- ショッピング:商品・サービスで、特にオンライン決済が可能なもの
- 健康・安全:医療、薬物、病院、非常時の備えなど
- 人権:年齢、性別、移民、国籍、カースト、障害、人種、ジェンダー、宗教など
- その他の生活情報:フィットネス、栄養、不動産、進学、就職など
前述のように、GoogleはYMYLを検索品質評価ガイドラインに加え、インターネット上の記事を厳しく評価している。その背景として、信頼性の低いネット記事がまん延し、社会問題化したことが挙げられる。
そのひとつ、日本国内でも話題になったのがいわゆる「WELQ問題」だ。2016年11月、医療系キュレーションメディア「WELQ」において、医学的根拠のない記事や薬機法に反する表現、他メディアのリライト(パクり記事)などが発覚し炎上。同12月にかけ、運営元のDeNAはWELQを含む複数のYMYL系キュレーションメディアの公開を停止した。当該サイト群は、外部ライターによる膨大な記事数やSEO対策によって検索エンジンで高い評価を獲得しており、多くの記事が検索結果で上位表示されていた。
こうした低品質な情報の流布によって人々が誤った知識を鵜呑みにし、健康上の悪影響や医療現場でのトラブルなどに発展する可能性があることが、社会的に問題視されたのである。
Googleは2017年2月に検索アルゴリズムをアップデート、特にYMYL領域においてはE-A-T(Expertise=専門性、Authoritativeness=権威性、Trustworthiness=信頼性、を意味する)が高いとGoogleが認めたサイトでない限り、検索で上位表示されることはほぼなくなった。
このようにYMYLを扱う記事は生活に密接に関わってくるため、人々の関心を集めやすい。反面、誤った情報が拡散することによるリスクも浮き彫りになった。専門性のないライターによる記事の粗製乱造では、従来のように検索で上位表示を狙うことは難しい。記事単体だけでなくサイト全体でE-A-Tを高め、正しい知識・事実に基づいた情報を発信していくことが肝要だ。
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