
「キュレーションメディア」については明確な定義はされていないが、「ある特定の価値観にもとづいて情報を収集・発信する」と、一般的に定義されている(「キュレーション」はラテン語で「世話役」を意味する)。
キュレーションメディアは、情報の内容によっていくつかのタイプに分けることができる。
- 総合ニュース系:扱う情報は政治・経済・エンタメ・スポーツ・テクノロジー系と幅広い。アプリがメインで、情報カテゴリをタブごとに分け、横にスワイプするだけで切り替えられるユーザーインターフェースが特徴。「スマートニュース」や「グノシー」が有名。
- 生活情報系:「生活の知恵」的な情報を特定のテーマに絞って編集している暮らしや料理、趣味、雑学など生活の知恵が集まる老舗キュレーションメディアの「nanapi」などがある。
- 女性向け:女性の恋愛・ファッション・メイクなどに特化したもの。「MERY」や有名人がキュレーターとして参加している「4meee!」等がある。
- グルメ系:食に関する情報に特化したメディア。食とライフスタイルに関する幅広い情報を発信する「macaroni」、ぐるなびが運営する「mecicolle(メシコレ)」などがある。
- 経済系:経済・ビジネス系のニュースに特化したもの。著名人のコメント付きのニュースが読める「NewsPicks」が有名。
キュレーションメディアのタイプと事例

2016年、医療・健康情報を扱う「WELQ」が問題となった。
一連の騒動は、薬事法違反や他のサイトからの無断転載が多く見られることがブログやメディアなどに指摘され、問題視されるようになったところから始まっている。
「WELQ」の記事は検索結果で上位に表示されていたものの、内容の信頼性が高いからではなく、入念なSEO対策(検索エンジンに掲載されやすくするために最適化を行うこと)を施していただけだったのだ。診療時間外などに体調が悪くなったときに、インターネットで医療関係情報を集めるケースは多い。誤りの情報を参考にすることで、健康被害につながる恐れもある。
また、ユーザーが自由に情報をまとめる「キュレーションサイト」をうたっていたのに、実際は格安な料金でライターに発注していたことも分かった。
その結果、同じくDeNAが運営している「MERY」「iemo」などの他の九つのキュレーションサイトも、他のサイトからの文章や画像の盗用が多いことが分かり、すべて一時掲載中止となった。
ユーザーも検索結果を鵜呑みにするのではなく、信頼性が高いメディアを見極め、正しい情報を得るための情報リテラシーを身につける必要がある。
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