ヒット商品が人気商品、アイデア商品と違うのは、その売上の伸びであり、話題の広がりです。「今年のヒット商品」「○○業界のヒット商品」という言われ方をしますが「○○年代のヒット商品」という検討ができます。ヒット商品は時代や消費者の願望を映す鏡ということもできるでしょう。ヒット商品の歴史を振り返ることによって時代の変化がよみとれます。
業界によってヒット商品は異なりますが、共通の消費者ニーズや願望がその時代のヒット商品を生み出しているのです。JMR生活総合研究所による「ヒット商品100」の分析によるバブル期とバブル崩壊後のヒット商品の違いの比較を掲出してみました。
- バブル期の消費 -地価の高騰で持家を「あきらめた消費」が生まれた。日産シーマや29型テレビがそれ。また、株、ゴルフなどの会員権といった「土地持ち・資産持ち」型消費も特徴です。
- バブル崩壊後の消費 -「貯金」がヒット商品。持家の可能性がでてきたことと、先行きへの大きな不安感の増大によるものです。
そして現在、「貯金」が最大のヒット商品であることは変わりませんが、マス宣伝と組織小売業店頭を通じて広範な認知を獲得し、周りの誰もが利用したというようなヒット商品が減り、代わりに、特定層の、口コミと街メディアを通じた、知られていないヒット商品が増えています。
消費支出に占める必需支出の割合はほぼ半分、消費の50%はマインドで動く時代です。生活者は節約消費に走る一方で、本当に欲しいものにはお金を出しています。その典型がインポートブランドで、商品を通じた「こんな人になりたい、近づきたい、こんな生活がしたい」というなりたい自分につながる提案が欲しい気持を引き起こしているのです。
ヒット商品を読む場合、表層的な変化だけにとらわれると間違いを起こします。深部で起こっている変化、長期トレンドを見る視点が重要な要素となります。
無料の会員登録をするだけで、
最新の戦略ケースや豊富で鮮度あるコンテンツを見ることができます。
参照コンテンツ
- MNEXT 戦略を読む 競争戦略立案のためのデータベースの手法と提案
- マーケティング用語集 商品別強み・弱み分析
- マーケティング用語集 限定商品
- マーケティング用語集 戦略商品
- マーケティング用語集 シーズン商品
おすすめ新着記事
成長市場を探せ V字回復で2年連続過去最高更新の炭酸飲料(2024年)
炭酸飲料が伸びている。2020年はコロナ禍で前年割れとなったが、翌21年にはコロナ前の水準に迫り、22年、23年と2年連続で過去最高を更新した。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 「紅麹サプリ問題」認知率は86%! 消費者の健康食品選びに変化
コロナが明けて需要が戻った健康食品市場だったが、2024年3月に「紅麹サプリ問題」が起こった。そこで、健康食品の利用と、「紅麹サプリ問題」を受けて消費者の行動がどう変化したかを調査した。
消費者調査データ 茶飲料(2024年9月版) 抜群の強さ「お~いお茶」、大手3ブランドが熾烈な2位争い
2年連続のプラスとなった茶飲料市場の調査結果をみると、トップブランドの「お~いお茶」が全項目で首位、大手飲料メーカーの緑茶ブランド3点が熾烈な2位争いを繰り広げている。一方、再購入意向のランキングでは、麦茶ブランドが上位に入った。