キヤノンの2020年12月期の連結決算は売上高3兆1,602億円(前年比12.1%減)、営業利益1,105億円(同36.6%減)となった。2020年度は、2月までは順調に推移したものの、新型コロナウイルスの影響で第2四半期には世界各国における都市封鎖などで経済活動が著しく停滞した結果、初の四半期ベースでの赤字決算となった。その後徐々に持ち直し、第4四半期には増益となったが、通期では大幅な減収減益となった。オフィス向け複合機やレーザープリンターは、感染拡大の影響からオフィスの稼働率が低下して大きく需要が減少し、露光装置や有機ELディスプレイ製造装置などの産業機器は旺盛な受注はあるものの、厳しい渡航制限によって顧客先での設置作業が中断されて伸び悩んだ。医療機器も、コロナの影響から医療機関への立ち入りが制限されて十分な営業活動が行えなかった。しかしそのような中でも、この時代に生き残るための追加の構造改革を計画どおり進めた。2016年からスタートした5ヵ年計画(フェーズV)では、新たな成長に向けて四つの新規事業(メディカル、ネットワークカメラ、商業印刷、産業機器)の拡充に挑み、「戦略的大転換」の第一段階となる事業ポートフォリオの入れ替えを完了させた。2021年度からは新たな5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズVI」がスタート、フェーズVからの流れを引き継ぎ、「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオの転換を促進する」を基本方針として、「産業別グループへの全社的組織再編による事業競争力の強化」、「本社機能の徹底強化によるグループ生産性の向上」の主要戦略を推進する。
参照コンテンツ
- 戦略ケース 今後の医療機器「主戦場」手術ロボット分野でキヤノンが勝つために (2016年)
- 戦略ケース "ロボット大国"日本は、なぜ「手術支援ロボット」市場で勝てないのか (2015年)
- 戦略ケース 「セイコーエプソン」×「キヤノン」 複合機移行でデッドヒート (2007年)
- MNEXT 2022年の消費の読み方-価値拡張マーケティング(2021年)
- MNEXT 凍結した消費マインドを溶解させるマーケティング―解除後の消費増加シナリオ(2021年)
- MNEXT 静かに激変する「当たり前の日常」と解凍消費(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
競合他社の業績と比較分析する
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