半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2016.03)
ホットニュース
今後の医療機器「主戦場」手術ロボット分野でキヤノンが勝つために
戦略研究チーム

 キヤノンは3月中旬、東芝の医療機器子会社「東芝メディカルシステムズ」(栃木県大田原市)の全株式を6,655億円で取得すると発表した。東芝の財務状況は大幅に改善し、キヤノンは新たな成長分野の柱を得たことになる。

 東芝が入札参加者に出した異例のリクエスト(買収金額の2割は3月24日までに支払い、交渉結果のいかんによらず、東芝に返済義務はない)や、破格の条件引き上げなどによって、買収は波乱含みの熾烈な競争となった。医療分野の成長性に、高い注目が集まっている証左だ。

 医療機器市場は、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(売上2兆8,000億円)や英GEヘルスケア(売上2兆円)など、上位4社はいずれも欧米の1兆円企業が占めている。日本勢で最大は、5位のオリンパスで、5,583億円だ。今回の買収により、キヤノンは日本の医療機器市場で最大プレーヤーになる可能性が高い。

 医療機器の各分野のうち、特に市場規模が大きいものは、MRI6,000億円、CT5,600億円、カテーテル3兆2,000億円、内視鏡(消化器用のみ)4,000億円となっている。

 上記のうち、カテーテルと内視鏡は、あるひとつの製品が、代替品となる。

 手術支援ロボットだ。

 手術支援ロボットは、内視鏡によるガン摘出術に多く用いられる。ガン治療に用いられるカテーテルと内視鏡は、まさに手術支援ロボットの得意領域で用いられる医療機器だ。カテーテルと内視鏡の大きな市場は、そのまま手術支援ロボットの市場と重なる。

 東芝は過去にこの分野への参入を試みたが、撤退している。現在は、米Intuitive Surgical(以下IS社と呼称)の「ダ・ヴィンチ」による、一社独占だ(詳細は、弊社コンテンツ「"ロボット大国"日本は、なぜ『手術支援ロボット』市場で勝てないのか」参照)。ロボットは、多くの手術分野で活用され、市場は二桁成長を続ける。アメリカでは、前立腺摘出術の8割に用いられている。

 この一社独占市場で、近年、参入のチャンスが拡がっている。

 高い要素技術と強固な特許防衛で固められた「ダ・ヴィンチ」だが、IS社が保有する主要な特許は徐々に期限切れをむかえる。アメリカにおいては、これまで133件の手術支援ロボットに関連する医療事故が起こったことが明らかになっており、市場独占の弊害が指摘され、規制が強化される流れとなっている。キヤノンにとっては、戦略的な参入をすることで、一気に医療機器市場のメインプレーヤーに躍り出るチャンスでもある。

 この分野へ参入するにあたっての、キヤノンの強みと弱みがある。

 強みは、デジカメで培われたコンパクト化の技術だ。「ダ・ヴィンチ」は、アメリカ企業がアメリカ人の体格に合わせて作ったロボットであり、日本の医療現場では、オペ室に比べて大きすぎるという問題がある。他のアジア諸国への展開も見据え、小型化は強力な差別化ポイントになる。

 一方で、弱みもある。営業だ。医療機器市場の営業は特殊で、多くのメーカーが参入をためらう要因にもなっている。MRなどの伝統的営業を革新し、新たな営業販売システムを構築することが、販路拡大にあたっての課題となるだろう。





新着記事

2024.02.21

企業活動分析 味の素の23年3月期は為替の影響や販売増で過去最高益を更新

 

2024.02.20

23年11月の「旅行業者取扱高」は19年比で76%に

2024.02.19

23年12月の「商業動態統計調査」は小売好調で34ヶ月連続のプラスに

2024.02.19

24年1月の「景気の現状判断」は12ヶ月連続で50ポイント超えに

2024.02.19

24年1月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続で全国で50ポイント超えに

2024.02.16

23年12月の「家計収入」は15ヶ月連続のマイナス

2024.02.16

23年12月の「消費支出」は10ヶ月連続のマイナス

2024.02.15

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 男性子育て層の約5割が利用 バンドワゴン効果で拡大する新NISA

2024.02.14

企業活動分析 パナソニックHD A2Wや車載機器・電池などの販売増や為替の影響で増収、原材料高騰が響き2割減益(23年3月期)

週間アクセスランキング

1位 2024.02.07

企業活動分析 ソニーグループの23年3月期は為替の影響やPS5販売増で2桁増収わずかに増益

2位 2023.12.27

2024年の日本を読み解く―24の視点

3位 2021.10.14

都心主要ラグジュアリーホテルのリバイバル戦略と行動直結プロモーション―産業衰退死段階の生き残り戦略【1】

4位 2024.02.09

消費者調査データ スナック菓子(2024年2月版) 圧倒的な強さ、カルビー「ポテトチップス」 再購入意向の高いPB商品

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area