
コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。
選択的支出は前年同月比で急回復を続けており、選択的支出の構成比も拡大し続けている。
一昨年同月比では、まだマイナスであるが、選択的支出のマイナス幅は縮小している。
選択的支出の回復は、自動車関連、宅内娯楽関連、教育関連などで顕著である。
特に伸びている自動車関連項目を牽引役に、選択的支出の回復が進展している。
1.急回復を続ける選択的支出
基礎的支出と選択的支出ともに、2021年4月の伸びは前月同様、プラスを保っている。特に、選択的支出は、急回復を続けている(図表1)。
図表1.基礎的支出と選択的支出の前年同月比伸び率の推移ログインして図表をみる
選択的支出の構成比も、2020年12月を底に、上昇を続けている。その上昇幅も、時間の経過とともに拡大し続けている(図表2)。
図表2.基礎的支出と選択的支出の構成比の推移ログインして図表をみる
コロナ前と比較するために、2021年1月から2021年4月にかけての一昨年同月比伸び率の推移をみると、選択的支出の伸び率はマイナスながらも、マイナス幅は縮小を続けている(図表3)。
図表3.基礎的支出と選択的支出の前年同月比伸び率と一昨年同月比伸び率ログインして図表をみる
2020年5月の選択的支出の伸びは、4月と同様、過去に類例のないマイナス幅を記録している。来月2021年5月の選択的支出の伸びも、今月4月からもう一段の改善が期待される。
2.自動車関連が牽引する選択的支出の回復
選択的支出の回復は、自動車関連、宅内娯楽関連、教育関連などで顕著である。特に、自動車関連項目で、高い伸びを示している。
選択的支出に類する項目のうち、2021年4月時点で、前年同月比と一昨年同月比のいずれでも伸びがプラスとなっているものは、計14項目ある。その内訳は、交通通信6項目、教養娯楽4項目、その他の消費支出2項目、教育2項目だ。更に、交通通信の6項目のうち、自動車関連が5項目を占めている(図表4)。
図表4.選択的支出で顕著な改善がみられる項目ログインして図表をみる
これら14項目の中で、一昨年同月比伸び率が+30%を超えているものは、交通通信では「自動車購入」「自動車等部品」「自動車整備費」「自転車購入」の4項目、教養娯楽では「楽器」「書籍」「園芸用品」の3項目、その他の消費支出では「婚礼関係費」「住宅関係負担費」の2項目、教育では「高校補習教育・予備校」「専修学校」の2項目である。更に、交通通信の4項目のうち、自動車関連は3項目を占めている(図表4)。
また、「自動車等関連用品」は今月4月時点でも+30%に近い伸びを示しており、さらに今月に入り、自動車関連項目で高い伸びを示すものが一段と増えている。自動車関連を牽引役に、選択的支出の回復が進展していることがわかる。
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ コロナの出口シナリオ(2月版)の更新―2ヶ月遅れのV回復の予兆(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナの出口シナリオとV字回復戦略―日本の「隔離人口」は約39%(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)(2021年)
- JMRからの提案 月例消費レポート 2021年6月号 消費支出はコロナ前の水準に回復(2021年)
- JMRからの提案 消費動向速報 消費性向の上昇と黒字取り崩しで始動する消費回復(2021年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第131号 "消費抑圧の反動 食品購入は高価格帯へシフト(2021年)
おすすめ新着記事

人種のるつぼ「川口市」 "本当に住みやすい街"は流通戦略の新たなモデルケース
テレワークの定着で職住分離が進み、生活者のライフスタイルが変化。それに伴い、人気のエリアも変わってきている。なかでも注目の街が、東京都北区に隣接する埼玉県川口市だ。川口市は、2021年度の税収が当初見込みより34億円上回る943億円になることを発表。コロナ禍で税収が落ち込む自治体が多いなか、バブル期以来の増額補正となった。買い物面では、都市型店舗と郊外型店舗が同居する"買住近接"エリアだ。居住者も多様で、ファミリーからシニア、日本人と外国人など、様々なライフスタイルが共存。多様性の街「川口市」には、今後の流通戦略のヒントを見出すことができる。

5G(第5世代移動通信システム)
5Gとは「第5世代移動通信システム(5th Generation)」のことで、通信規格の名称。現在の「4G」に続く最新の規格で、日本では2020年3月から商用化が開始された。4K/8Kの高精細映像などの大容量コンテンツの伝送や、自動運転や遠隔ロボットへの活用、IoTの普及などが期待されている。

テイクアウト、デリバリーで伸びる洋風ファーストフード
コロナ禍で外食全体が苦戦するなか、ハンバーガーチェーンなどの洋風ファーストフード業態は、コロナ前の2019年と比較しても116.2%と伸長している。原動力となったのは、感染症対策がしやすく、テレワークなど働き方・ライフスタイルの変化に伴うテイクアウトやデリバリーの拡大だ。原材料の値上がりや、健康意識、環境配慮意識の高まりなどの不安要素はあるものの、今後も成長が期待される業態だ。



