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公開日:2023年05月08日

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第153号
コロナ禍を超え、旅の再開へ 約7割が旅行に意欲的


本コンテンツは、食生活についての消費者への独自調査をもとに、その分析結果をまとめたオリジナルコンテンツです。有料会員の方は、調査結果の分析パートと、主要各紙から食生活のトレンドを整理した業界クリップの2部構成でお届けするレポート形式のPDFダウンロードがご利用いただけます。


国内旅行は若年・高収入層中心から中間層まで拡大可能性

 5月には新型コロナウイルスの感染症法上の分類が移行されることもあり、旅行業界が賑わいを取り戻している。そこで、ここ最近どのような人がどのような理由で旅行をしているのか、今後旅行をしたいと思っているかを調査した。

 まず、1年内に経験した旅行についてみてみる(図表1)。旅行経験者は5割強であり、もっとも高いのが帰省以外の国内旅行で4割以上、次いで帰省旅行が2割と続いた。海外旅行は4%に満たなかった。

 今後1年内の旅行意向者は7割近くまで占めた(図表3)。帰省以外の国内旅行が6割弱、海外旅行も15%と、どちらも1年内経験者に比べると1割ほど高いことがわかる。

 続いて国内旅行の経験者を属性別でみていく(図表4)。年5回以上旅行者は、20代や管理職・経営者、年収1,000万円以上といった若年層や高収入層が全体より高く、年1~4回だとフルタイム勤務や年収600~1,000万円の層が加わってくる。今後意向では、これらの層の他、年収400~600万円の層も意向が高い(図表5)。旅行はコロナ禍では若年層・高収入層を中心とした限られた層だけだったのが、今後は中間層まで裾野が拡大することがみこまれる。

図表
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円高・物価高で今後も厳しい海外旅行

 次に、旅行への我慢意識についてみていく(図表6)。旅行を我慢してきたという意識は、国内旅行がそう思う計で半数近く、海外旅行でもそう思う計で3割程度だった。我慢をしてきた理由としては、国内・海外ともに「コロナ感染症にかかること」が最も高く、次いで「うつすことへの不安」「自粛要請」といった理由が大きい(図表7)。その他、海外では「円安や物価高」「陰性・ワクチン接種証明書の必要性」といった理由が国内旅行よりも高いのが特徴的である。

 それでも海外旅行に頻繁に行っているのは、世帯年収1,000万円以上の高収入層である(図表8)。今後意向も全体が15%程度なのに対し、この層は4割近くが意向を示しており、その他管理職・経営者や生活レベルの意識が中の上以上の人たちも全体より1割程度高い。海外旅行については、今後も高年収層を中心とした層に留まりそうである。

 次に海外旅行をする時の意識をみていく(図表9)。海外旅行意向者がもっとも意識しているのが、航空券の価格であり、9割近くが意識している。旅行先の物価や為替レートもそれぞれ8割弱が意識している。海外旅行の決断には、円高や物価高などの影響が大きいことがうかがえる。

図表
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観光地を巡り、食事やホテルでのゆっくりした時間を楽しむ旅行

 次に、1年内でもっとも印象に残っている旅行についてみていく。もっとも印象に残っている旅行場所としては、関東が25%と4分の1を占め、次いで甲信越・北陸、近畿と続く(図表10)。その場所を選んだ理由としては、「行きたい観光地があるため」が5割強と最も高く、次いで「全国旅行支援制度が使えるため」、「おいしいものを食べるため」、がほぼ同割合の4分の1程度であった(図表14)。

 その際の交通機関としては、コロナ禍ということもあってか、自家用車が4割強と公共交通機関よりも高かった(図表11)。一緒に行ったのは「家族」が6割と圧倒的であり、2位の「一人」、3位の「友人・恋人」各2割弱を大きく引き離している(図表13)。

 その旅行で印象に残っている過ごし方として、最も高かったのが「食事を楽しんだ」で6割弱、次いで「観光地巡りをした」が5割弱、「ホテルでゆっくり過ごした」「家族・友人との団らんを楽しんだ」「温泉に行った」が各3割弱と続く(図表15)。

 お目当ての観光地を巡り、食事や団らんを楽しんだり、ホテルや温泉でゆっくり過ごすことが旅行の愉しみとなっている。

図表
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旅行我慢の反動や見せびらかしニーズによる旅行の活発化

 最後に、旅行者の背景にある価値観や意識についてみていく(図表16)。国内旅行は、「海外旅行を我慢してきた」と意識している層ほど経験し、また「記憶に残ることにお金をかけたい」「自慢できる体験にお金をかけたい」「今を楽しむためにはお金はいくらでも出す」といった価値観が高い層ほど旅行していることがわかる。

 これらの海外旅行我慢層や、記憶に残ることにお金をかけたい層は、高収入層や生活レベル意識が高い層である(図表17)。また、自慢できる体験にお金をかけたい層は、20代や生活レベル中の上以上で顕著である。

 今後の旅行目的としては、全体トップ3は「観光地巡りをするため」「温泉に入るため」「ホテルでゆっくり過ごすため」で、上記層も上位項目は同様だが、海外旅行我慢層や自慢できる体験価値重視層は「話題の場所を訪れるため」「ビーチ・プールを楽しむため」「エステ・スパなどをうけるため」などが全体より高いのが特徴的である(図表18)。

 今後の旅行意向の高さからも、人々の旅行ニーズは高い。一方、階層意識が高い程見せびらかし意識が高くなり、見せびらかしのための旅行ニーズが高まる。収入格差が拡大し階層化が進む程、今後の旅行ニーズも高まるのではないか。

図表
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* オリジナル調査結果の分析 構成(全4頁)
  1. 国内旅行は若年・高収入層中心から中間層まで拡大可能性
  2. 円高・物価高で今後も厳しい海外旅行
  3. 観光地を巡り、食事やホテルでのゆっくりした時間を楽しむ旅行
  4. 旅行我慢の反動や見せびらかしニーズによる旅行の活発化

* 業界クリップ 2023年3月(全7頁)
  1. 消費者の動き        【節約志向が鮮明化】
  2. 売れている食品・メニュー  【注目される「代替魚」市場】
  3. 東京市場          【上野のアメ横に昆虫食が登場】
  4. 地産地消          【地域金融機関が食産業の旗振り役に】
  5. 食品企業の経営       【回転レーンにおける寿司提供の廃止】
  6. 製品開発          【サントリーが「サントリー生ビール」を発売】
  7. 価格政策          【卵不足による商品の発売休止】
  8. プロモーション        【「さかなの日」の販促】
  9. チャネル政策・チャネル動向 【PB見直しの動き】
  10. ヘッドラインクリップ    2023年3月の動向



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