
2020年の茶飲料の生産者販売金額は7,441億円で、前年比93.3%にとどまった(全国清涼飲料連合会)。2019年は過去最高を更新したが、2020年はコロナ禍による外出自粛などの影響を強く受けた。
今回は、当社が任意に選んだ無糖茶32ブランドについて、「知っている(認知率)」、「買って飲んだことがある(経験率)」、最近3ヶ月以内における「広告・記事を見たことがある(広告接触)」「店頭などで見たことがある(店頭接触)」、「3ヶ月以内に買って飲んだ(3ヶ月以内購入)」、さらに「今後(も)買って飲みたい(今後意向)」と「購入経験者における今後の購入意向(再購入意向)」という7項目について、インターネットモニターに対して行った調査結果をランキング形式でお届けする。
今回のランキングでも、前回(2020年8月版)と同様に7項目中、広告接触と再購入意向を除く5項目で伊藤園の「お~いお茶 緑茶(以下、お~いお茶)」がトップ、それをサントリーの「サントリー緑茶 伊右衛門(以下、伊右衛門)」が追う形となった。3位以下には「綾鷹(日本コカ・コーラ)」、キリンの「キリン 生茶」などが続くのも同様だ。緑茶系のロングセラーが上位を占めるなかで、注目の新顔が日本コカ・コーラの「やかんの麦茶 from 一(はじめ)」だ。4月26日の発売から2ヶ月で出荷本数が5,000万本を突破、過去3年間で発売された同社の新製品のなかで最速の5,000万本突破だという。「やかんの麦茶 from 一(はじめ)」は、認知は20位、購入経験は圏外の21位だが、広告接触は7位、3ヶ月以内購入は10位に入った。積極的な広告投入がトライアルに結びついている。再購入意向の5位とも相まって、今後の成長が注目される大型新製品だ。
また、購入経験や3ヶ月以内購入の上位は緑茶飲料が占めているものの、再購入意向ではほうじ茶や麦茶が目立つのも、前回(2020年8月版)と同様だ。今回の再購入意向の上位3ブランドは「綾鷹 ほうじ茶(日本コカ・コーラ)」、「伊右衛門 ほうじ茶(サントリー)」、「ローソンオリジナル ほうじ茶(ローソン)」とすべてほうじ茶が占めた。4位から7位もジャスミンティや麦茶が並び、ベスト10内に緑茶飲料は2ブランドのみとなった。
コロナ禍で、外出自粛が呼びかけられたことなどから、出先での飲料の購入が減少し、清涼飲料市場自体がシュリンク、なかでも茶飲料は自宅で茶葉からの手いれにシフトしたと考えられる。メーカー各社は、好調のほうじ茶や麦茶への注力、ブレンド茶の再提案などに加え、環境問題に配慮したラベルレスボトルなどで家庭内消費増を図る。需要の最盛期を迎えた巨大市場の行方が注目される。
- 注目ランキング
-
- 3ヶ月内購入
- お~いお茶 緑茶(伊藤園) 32.0%
- サントリー緑茶 伊右衛門(サントリー) 26.2%
- 綾鷹(日本コカ・コーラ) 23.6%
- 再購入意向
- 綾鷹 ほうじ茶(日本コカ・コーラ) 73.3%
- 伊右衛門 ほうじ茶(サントリー) 72.0%
- ローソンオリジナル ほうじ茶(ローソン) 72.0%
- 3ヶ月内購入
詳細データのダウンロード
クロス集計表 サンプルイメージ
調査概要
提示32ブランド
- お~いお茶 緑茶(伊藤園)
- キリン生茶(キリン)
- サントリー緑茶 伊右衛門(サントリー)
- 綾鷹(日本コカ・コーラ)
- ヘルシア緑茶(花王)
- 一(はじめ)緑茶(セブン&アイ)
- ファミリーマートコレクション にごり旨み緑茶(ファミリーマート)
- ローソンオリジナル 緑茶(ローソン)
- 玉露入りお茶(ポッカサッポロ フード&ビバレッジ)
- GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶(サントリー)
- 胡麻麦茶(サントリー)
- 健康ミネラルむぎ茶(伊藤園)
- 爽健美茶 健康素材の麦茶(日本コカ・コーラ)
- やかんの麦茶 from 一(はじめ)(日本コカ・コーラ)
- アサヒ十六茶 麦茶(アサヒ飲料)
- セブンプレミアム むぎ茶(セブン&アイ)
- ファミリーマートコレクション 香ばし麦茶(ファミリーマート)
- ローソンオリジナル 麦茶(ローソン)
- お~いお茶 ほうじ茶(伊藤園)
- 伊右衛門 ほうじ茶(サントリー)
- 綾鷹 ほうじ茶(日本コカ・コーラ)
- セブンプレミアム ほうじ茶(セブン&アイ)
- ローソンオリジナル ほうじ茶(ローソン)
- サントリーウーロン茶(サントリー)
- 黒烏龍茶(サントリー)
- 伊藤園ウーロン茶(伊藤園)
- アサヒ十六茶(アサヒ飲料)
- 爽健美茶(日本コカ・コーラ)
- からだ巡茶(日本コカ・コーラ)
- リラックスジャスミンティ(伊藤園)
- お~いお茶 玄米茶(伊藤園)
- 信州韃靼そば茶(JR東日本)
調査設計
調査手法:インターネットリサーチ調査期間:2021年7月9日(金)~7月14日(水)
調査対象者:当社インターネットモニター 20歳~69歳
全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,020サンプル
サンプル構成(%)



参照コンテンツ
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第131号
消費抑圧の反動 食品購入は高価格帯へシフト - 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第121号
在宅時間の増加で増えるおうちカフェこだわり派
おすすめ新着記事

星野リゾート進出が変えた「豊島区大塚」 ―官民連携で地域活性化の好事例
都心再開発の多くが完工する2030年頃にかけて、人の流れが大きく変化します。「豊島区大塚」もそのひとつで、官民一体の街づくりによって新たな観光スポットに生まれ変わりました。そもそも大塚といえば、良く言えば下町レトロ、、悪く言えばちょっといかがわしい街のイメージ。それが、2018年の星野リゾート進出によって一変しました。エリアマーケティングでは、大塚のような官民一体型の地域活性策も重要になってくるでしょう。

コロナ下でも強い「ビオレUV」、再購入意向は「スキンアクア」
2年連続で大幅縮小したサンケア市場。今年は、コロナ禍での規制緩和により外出機運も高まっており、再成長が期待されている。今回の調査も、過去同様「ビオレUV」が6項目で首位を獲得、盤石の強さをみせた。唯一首位を譲ったのが再購入意向で、「スキンアクア」が87%と圧倒的支持を獲得。各社も花粉ブロックやホワイトニングなど付加価値製品を投入しており、夏を目前にあつい戦いが予想される。

値上げの時代の生き残りマーケティング
2022年は経済の大きな転換期になりそうです。ようやく新型コロナのエンデミック化かと思えば、ウクライナ侵攻、値上げと、経済へのマイナスインパクトが続いています。これらは表面的な現象であり、根底は新たな経済、新しいグローバルな経済秩序への転換です。日本経済に大きな影響を与えるのは、利上げ、サプライチェーン寸断、コロナ、ウクライナ侵攻の四つです。これらの要因が供給と物価に影響を与え、需要をシュリンクさせ、消費市場を減少させることになります。この状況に、マーケティングとしてどう対応したらよいか、ということをお伝えします。



