半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2016年07月22日

なぜ食品スーパー「ヤオコー」は、27期連続増収を続けられるのか?
大澤 博一


本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。
ご利用には無料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
ご登録はこちらをご覧ください。

1.98年「狭山店モデル」から持続的成長

 首都圏を中心に店舗展開する食品スーパー、ヤオコーの2016年3月期の決算説明会が5月に行われた。売上は当初予測を大幅に超え3,254億円、前年比110.0%となり、営業利益は138億円、前年比112.1%と2桁成長となった。27期連続で増収増益を達成している。この業績は出店拡大によるものだけではない。2015年度の既存店売上は105.3%、既存店客数は102.5%、客単価は102.2%といずれの数字も伸ばした結果だ。1店1店しっかりとした店づくりを行っていることが、持続的成長につながっている。


図表.ヤオコーの業績


 成長を続けるヤオコーも初期のころは失敗の連続だった。精肉・鮮魚の集中前処理を行ったことで生鮮食品の売上が低迷した。他にも食品宅配事業に参入したり、移動バス販売を行ったり、不振店をディスカウント店に転換したりと様々な取り組みを行うが、どれも失敗した。当時は、埼玉にある普通のSM(スーパーマーケット)という存在でしかなかった。

 同社は、94年に「食生活提案型食品スーパー」を目指すという経営方針を掲げた。97年には「食生活ニーズは地域により微妙に異なる。それを把握できるのは現場の店長とパート店員だ」という川野幸夫会長のもと、「個店経営」を打ち出して、店舗運営権限を現場に与えた。

 転換となったのが98年にリニューアルオープンした狭山店の実験展開だ。地場産野菜売場と総菜売場を拡充し、今ではヤオコーの名物になっているクッキングサポート(売場の中にあり、食や料理の相談や料理を実際につくりレシピなどを教える場所)を初めて展開した。さらに、ミールソリューション(「食事問題の解決」のこと。家庭で料理を一から作る代わりに、惣菜、カット野菜などの下ごしらえされた食材を買って、手早く食事を作ること)の強化を図った。同時にパート店員が考案した料理をお客様に試食してもらうことも始めた。手作りのレシピを配布し、地域に合った主婦感覚のメニュー提案を行った。現在、ヤオコーに行けば、売場の至るところにメニューが提案され、総菜売場は非常に充実している。ヤオコーの原型がこの狭山店であり、この狭山店をモデルに出店を拡大し、急成長を遂げている。


ヤオコーはどのようにして持続的成長を遂げてきたか?また今後の課題とは?  
【続きを読む】(無料・有料会員向け)


参照コンテンツ

  • JMRからの提案 激変する食品流通への重層戦略(2016年)
  • JMRからの提案 店頭マーケティングから買物満足のマーケティングへ(2010年)

  • 業界の業績と戦略を比較分析する


    おすすめ新着記事



    J-marketingをもっと活用するために
    無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


    新着記事

    2025.06.16

    提言論文 なぜそのブランドを選ぶのか - 性格で読み解くブランド選好の心理

    2025.06.13

    成長市場を探せ カカオショックのなか、過去最高を更新したチョコレート市場(2025年)

    2025.06.12

    25年5月の「景気の現状判断」は15ヶ月連続で50ポイント割れに

    2025.06.11

    25年4月の「家計収入」は前年から横ばいに、「可処分所得」は4ヶ月ぶりのプラス

    2025.06.11

    25年4月の「消費支出」は2ヶ月連続のプラスに

    2025.06.10

    25年4月の「現金給与総額」は40ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

    2025.06.09

    企業活動分析 P&Gの24年6月期決算は、7期連続増収、2期連続増益も25年は逆風予想

    2025.06.06

    25年4月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも横ばいに

    2025.06.05

    「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 異なる購買体験を提供するリアル書店とEC書店 衝動買いが満足度を最大20%アップ!

    2025.06.04

    25年5月の「乗用車販売台数」は5ヶ月連続のプラス

    2025.06.03

    25年4月の「新設住宅着工戸数」は3ヶ月ぶりのマイナスに

    2025.06.03

    消費からみた景気指標 25年3月は6項目が改善

    週間アクセスランキング

    1位 2025.06.02

    寡占米市場の高い米価の行方 - 値下げ政策の賢愚

    2位 2024.05.10

    消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

    3位 2013.03.22

    MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

    4位 2025.06.05

    「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 異なる購買体験を提供するリアル書店とEC書店 衝動買いが満足度を最大20%アップ!

    5位 2017.09.19

    MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

    ENGLISH ARTICLES

    2023.04.17

    More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

    2023.02.22

    40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

    2022.11.14

    Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

    2022.09.12

    The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

    2022.06.20

    6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area