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(2010.06)
店頭マーケティングから買物満足のマーケティングへ
買物満足度を最大化するマーケティング
大澤 博一


1.はじめに

 構成
 1.好調なローカルチェーンの成功のポイント
 2.買物満足のマーケティングとは何か
 3.買物満足度を高めるには-買物満足のマーケティングフレーム
 4.買物満足のマーケティングの実践例―買物客の購買行動にあわせた売場展開


 現在、イトーヨーカ堂やイオン、CVSの売上が低迷している。10年3月度のチェーンストアの売上は既存店で対前年93.4%、16ヶ月連続でマイナスとなっている。CVSも同様に対前年95.1%、10ヶ月連続でマイナスとなっている。PBを強化し、低価格化を進めても、客数が伸びず、客単価が落ち込み、売上減少となっている。メーカーも販促費を投入して、大量陳列を行っても、定番売場で優位を確保しても売上が伸びない状況が続いている。チェーンオペレーションを強化した企業ほど苦しんでいる。単品管理に基づく売れ筋中心の画一的な売場展開は、初めは売場生産性は良くなるものの、消費者にとって買いやすいが、面白味がなく、発見のない売場となり、売場の魅力度が低下し、消費者との不適合を起こし、結果的に売場生産性が悪くなるというジレンマに陥っている。

1.好調なローカルチェーンの成功のポイント
 大手チェーンストアが苦戦するなかで、現在好調なのがローカルチェーンである。商業界「日本スーパー名鑑'10全国」に収録されている5店舗以上を持つチェーン本部785社のなかで、直近の4期連続増収チェーンを抽出すると、17%の130チェーンが確認できた(「伸びるローカル流通」参照)。
 好調なローカルチェーンの成功の主な要素は四つあげられる。ひとつは、地域特性をじっくりと読み込み、それに併せた業態を出店することである。ふたつは、売場の工夫、売場のアミューズメント化である。九州のローカルスーパーであるハローデイは、「顧客に楽しんでもらうためには、まず従業員が楽しい環境でなければならない」との考えのもと、店舗ごとにコンセプトを決め、趣向を凝らしたディスプレーで店内をアミューズメント化している。三つめは、個店の裁量により、自店の商圏固有のニーズに合わせた幅広い豊富な品揃えを行っていることである。小型ホームセンターで展開しているサンデーは、新規出店に際し社長自ら現地に足を運び、商品を調達している。その結果、既存の大型ホームセンターの品揃えを上回る8万アイテムの品揃えを行い、地域住民の生活に潜り込み、本当に必要な商品を品揃えしている。最後が、対面・カウンセリングによる「人」を介した売り方の工夫により、確実な購買につなげていることである。ダイユーエイトは、「専任アドバイザー」や「お客様親切係」を設け「心」を満たすサービスに力を入れている。顧客が求めているものを把握した上で、+αの提案や、より買いやすいレイアウトを提案している。東京の有力リージョナルチェーンのサミットも、魚売場など対面販売を強化している。人を介さないセルフ販売ではなく、人を介した対面販売を導入している企業が増えてきている。
 これら130チェーンは本部主導による大量仕入れや売れ筋中心の品揃え、単品量販での低価格化など、量的な拡大を中心とするチェーンオペレーションを行っていない。地域需要に合わせた個店裁量による豊富な品揃えや売り方の工夫、地域密着・買物客への密着で持続的成長を実現している。

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