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海外の景況感悪化や円急騰など、内外の波乱要因がもたらすマイナス・インパクトが、輸出や生産などの実体経済面に徐々に現れてきております。2010年8月頃からの消費マインドの悪化にも未だ歯止めがかからず、消費は回復軌道に乗る一歩手前で、暫し足踏み模様です。2010年10月以降、政府・日本銀行ともに、約20ヶ月ぶりに景気の現状判断を下方修正に踏み切るなど、景気の先行きに対する警戒姿勢を更に強めつつあります。 2011年に入って以降の日本経済の見通しについては、2010年度中は外需と消費は低迷する中で設備投資頼みの景気回復となるが、2011年度には引き続き設備投資が堅調な回復をみせるとともに外需も一時的スランプを脱し景気は回復軌道を保っていく、というのが主流のシナリオであり、景気の腰折れを懸念するシナリオはむしろ少数派です。 消費支出はこれまで堅調な推移をみせるとともに、小売業全体の回復傾向に加え不振続きであった組織小売業態でも改善の兆しがみられるなど、供給サイドからも明るい材料が出ております。他方で、エコカー補助金終了直後に自動車販売が大幅に減少し、これまで景気と消費を下支えしてきたエコカー減税・補助金や家電エコポイントなどに関し、政策効果剥落が景気にもたらす下振れリスクの方に人々の関心は移りつつあります。在庫循環上、鉱工業全体では在庫積み増し局面に止まってはおりますが、消費財で在庫積み上がり局面に入っている点も、今後の消費を占う上で気がかりな材料です。 雇用・所得環境について明らかな改善が認められますが、政策効果切れ後の需要反動減や円急騰の余波による生産鈍化がどの程度のものとなるか見えない中で、雇用情勢の先行きに対する不安材料はいまだ払拭しきれてはおりません。2010年冬季のボーナス支給はプラスながらも、小幅な伸びに止まる見込みです。消費にとっては厳しい年末年始となりそうです。 「Economic Outlook for Japan」では、前号が発刊された2010年6月以降の経済情勢を整理し、8月頃より再加速した円急騰と鮮明化しつつあるマインドの悪化の下で、先行き不透明感が高まりつつある日本経済の見通しと、今後の消費の読み方を提示します。 2011年新春、日本経済の底流で生起しつつある変化の予兆を捉えて、一歩先を見据えた戦略的判断と行動の一助となることを企図して、「消費経済レビュー」第15号を実務家のみなさまにお届けいたします。
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