2008年度に入って後も、サブプライムローン問題や米国経済の失速懸念などを契機とする内外経済の動揺は続いており、日本経済の先行きはますます不透明なものとなりつつあります。 2008年度の日本経済の情勢については、米国向けを中心に輸出が低迷し設備投資も鈍化するという悲観的な見方と、新興国向けの輸出の伸長と設備投資の堅調さを支えに安定成長を続けるという楽観的見方とが対立していますが、現状では前者の悲観的シナリオの方が多数派となっております。原油・資源・穀物などの商品市況の高騰にブレーキがかかる兆しは未だ認められず、食品・日用品・燃料などで相次ぐ価格の値上げの影響も今後顕在化してくる中で、日本の景気に対する先行き警戒感はますます強まりつつあります。 今号の概要は以下のとおりです。 「Economic Outlook for Japan」では、前号が発刊された2008年2月以降の経済情勢を整理し、今後の日本経済の読み方を提示します。 「家計のリスク資産へのシフトはなぜ進まないのか-運用動機のクラスター・セグメント」では、家計のリスク資産運用への意欲を阻む壁となっている、運用の非取組動機の存在を明らかにし、家計のリスク資産シフトを促すのに必要な施策の方向性ついて検討を加えております。 「アクトビラのコンテンツ開放戦略-プラットフォームによるモデル分析」では、コンテンツ開放戦略とその効果について、テレビ向けのインターネット接続ポータルサービスであるアクトビラを例に、産業組織論で用いられるプラットフォーム・モデルを用いた分析を行い、その有効性を明らかにしております。 「データフュージョンの新展開」では、マーケティング・リサーチの分野で最近注目され、データフュージョンと呼ばれている、異なるデータベースの統合方法を紹介し、その応用可能性について検討しております 2008年6月、日本経済の底流で生起しつつある変化の予兆を捉えて、一歩先を見据えた戦略的判断と行動の一助となることを企図して、「消費経済レビュー」第9号を実務家のみなさまにお届けいたします。 次なる一手を模索する実務家のみなさまにお届けいたします。
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