
「まちづくり三法」は、「都市計画法」「中心市街地活性化法」「大規模小売店舗立地法」の総称で中心市街地を活性化させるための法案です。1974年施行の「大規模小売店舗法(大店法)」の失敗がこの背景にあります。大店法は、中心市街地の商店街を守るはずでしたが、逆に大型商業施設の郊外出店を加速化させ、商店街の衰退を招くことになり、いわゆる「シャッター通り」を各地に出現させました。2000年に大店法が廃止され、出店規制の一部を緩和した「大規模小売店舗立地法(大店立地法)」が、他の二法の改正と合わせ、「まちづくり三法」として施行されました。しかし、今度は商業施設に加えて病院や学校などの公共施設までもが郊外に移転するようになったため、政府は、さまざまな都市機能を中心市街地に集中させる「コンパクトシティ」構想を打ち出しました。2006年に改正されたまちづくり三法では、10,000m2を超える大規模な施設に関しては、都市計画法で定められた商業地域、近隣商業地域、準工業地域の三つの用途地域のみに出店を許可しており、郊外への出店は公共施設も含めて原則として禁止しています。また特に地方都市では、準工業地域であっても自治体が「特別用途地区」を指定し、出店を抑制する権限があります。
今回の改正法案は、2007年秋に施行されるため、2006年度は大規模商業施設がかけこみ出店が行われました。また、従来は大規模商業施設を展開していたイオンなどの組織小売業が、既存の業態から新たな業態に目を向け、小型スーパーやコンビニなどの新たな分野に進出すれば、すでに都心で店舗を展開している既存店との間で出店競争が激化することになります。オフィスが多い都心や充分な客足を見込める中心市街地の土地を確保し、そこでどのような業態開発を行うかが、小売業の経営を左右する重要なポイントのひとつになってくるでしょう。
参照コンテンツ
おすすめ新着記事

5G(第5世代移動通信システム)
5Gとは「第5世代移動通信システム(5th Generation)」のことで、通信規格の名称。現在の「4G」に続く最新の規格で、日本では2020年3月から商用化が開始された。4K/8Kの高精細映像などの大容量コンテンツの伝送や、自動運転や遠隔ロボットへの活用、IoTの普及などが期待されている。

テイクアウト、デリバリーで伸びる洋風ファーストフード
コロナ禍で外食全体が苦戦するなか、ハンバーガーチェーンなどの洋風ファーストフード業態は、コロナ前の2019年と比較しても116.2%と伸長している。原動力となったのは、感染症対策がしやすく、テレワークなど働き方・ライフスタイルの変化に伴うテイクアウトやデリバリーの拡大だ。原材料の値上がりや、健康意識、環境配慮意識の高まりなどの不安要素はあるものの、今後も成長が期待される業態だ。

広まるネットショッピング 特定層に留まるSNS購買とフリマアプリ
コロナ禍でオンラインショッピングの利用が増えている。利用チャネルもアマゾンや楽天だけにとどまらず、多様な買い方がされている。今回は、その中でもSNSを通じた購買やフリマアプリの利用に焦点を当て、今後の利用拡大の可能性を探ってみた。



