
三角合併とは、合併される会社(消滅会社)の株主への対価として、存続会社の株式ではなく親会社の株式を交付して合併することを指します。親会社が子会社を通じて別の会社を吸収合併(M&A)する方法で、3社が関与するため三角合併と呼ばれます。
日本では、2006年5月1日の新会社法成立から1年の猶予を経て、2007年5月1日に解禁となりました。
具体的な三角合併の仕組みは次のとおりです。
- 親会社A社(海外企業)が日本国内に100%子会社B社を設立。
- B社(存続会社)と合併対象のC社(消滅会社)が合併。C社は吸収される。
- C社の株主には合併対価として親会社A社の株式を渡す。C社の株主は、A社の株主となる。
三角合併解禁によって、日本企業をねらうM&Aが盛んになるのではないか、敵対的買収の可能性が増えるのではないかとも言われています。しかし三角合併は、両社の取締役会の決議や株主総会に合併の議案を示して株主に賛否を問う必要があり、特別決議として双方の会社の株主総会で3分の2以上の賛成が必要なため、当面は大きな脅威にはならないという見方が強いようです。
そもそも、株式交換の制度は1999年の商法改正によって制定され、買収企業の株主に対して自社株を交付することで、現金を使わずに他の企業を完全子会社化することが可能となりました。この当時は、株式交換は国内企業同士のやり取りのみに制限されていましたが、2006年5月に施行された新会社法によって、会社を設立する手続きやM&Aに関する手続きが簡単になり、たとえば外国企業で手持ちの現金が少ない場合でも、日本企業の買収が容易にできるようになったのです。
株式時価総額でみると、外国企業が日本企業をはるかに上回るケースがほとんどだけに、外国企業が親会社となって、日本に設立した子会社を通して日本企業を買収するといった、国境を越えたM&Aが今後本格化することが考えられます。また、外国企業による日本経済や企業への投資がやりやすくなることで、日本経済の将来にも影響を与えることが想定されます。
このような動きを背景に、外国企業の買収への危機感は強まっており、日本企業で買収防衛策を導入する企業が増加しています。2007年5月22日までに防衛策を導入したのは348社(2005年からの累計)となっており、全国上場企業の約1割に達しています(日本経済新聞社調べ)。とはいえ、収益力を向上させ、自社の株価を上げる努力こそが、最強の防衛策であり、やみくもに敵対的買収を警戒するより、買収されにくい企業へと変わることが重要であることは言うまでもありません。
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