半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

マーケティング用語集
スモールワールドネットワーク
スモールワールドネットワークとは

 スモールワールドネットワークとは、ネットワーク理論の分野において、あるノード(点)からあるノードへ、少数のノードを経由するだけで到達することができ、かつあるノードに繋がるノード同士が繋がっているという性質を持つネットワークのことを言います。専門的には、「ネットワークにおける平均経路長が短く、クラスター係数が高い」と定義することが出来ます。

 ダンカン・ワッツらが提唱していますが、一見、全然つながっていない人同士でも、大体5人を介すると必ずつながっているという理論です。情報は、1人ずつ、1人ずつというように、伝えていかないと伝わらないと思えるのですが、1人の人に入れば、情報がワープしていき、ワープしていくことによってどんどん情報が伝わっていきます。それがスモールワールドネットワークということです。


スモールワールドネットワークの起源

 スモールワールドネットワークは、1967年、社会心理学者ミルグラムによって、「ファーストネームで呼び合う知人を介して手紙をターゲットに届ける」という実験が行われたことに端を発します。実験結果は平均して6ステップでターゲットに到達、通常、友人同士は狭いコミュニティーを形成するため小さなクラスターを形成しますが、これらの制約を超えてお互いに少ない数で繋がることが出来ることがわかりました。この結果は、「世界は小さい(=It's a small world.)」」ということから、「スモールワールド」と名づけられています。

 今日、特に注目を浴びているのは、コーネル大学の2人の数学者、ダンカン・ワッツとスティーブン・ストロガッツが1998年に発表した論文「『スモールワールド・ネットワーク』における集団力学」で、このようなスモールワールド性を持つネットワークをはじめて数学的に説明、非常に簡単なシミュレーションにより導き出したことによるものです。


スモールワールドネットワークへのアプローチ

 スモールワールドネットワークの考え方は、多くのネットワークを伴う社会関係の解明(政治や経済)や病気の伝染などにも適用されつつあり、またIT分野でもインターネットそのものの研究やSNS(ソーシャルネットワーキング・サービス)のようなサービス、さらにナレッジマネジメント分野でも注目を集めるところとなってきています。

 一方、マーケティングへの応用は、現在、研究としては少ないものの、新商品の普及など口コミが重要な役割を果たす場面においては、スモールワールドネットワークを通じた情報の伝達で成功したケースが実際に起こっています。自然発生的なネットワークだけにコントロールは難しいものの、発生しやすい環境をつくることで、コミュニケーション、プロモーションに利用することは可能と思われます。



関連用語


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

新着記事

2024.07.26

消費者調査データ 炭酸飲料(2024年7月版)  首位「コカ・コーラ」、迫る「三ツ矢サイダー」、高い再購入意向の無糖炭酸水

2024.07.25

24年5月の「広告売上高」は、6ヶ月ぶりのプラス

2024.07.24

24年5月の「旅行業者取扱高」は19年比で72%に

2024.07.23

24年5月の「商業動態統計調査」は2ヶ月連続のプラス

2024.07.22

企業活動分析 キユーピー株式会社 23年11月期は海外など好調で増収も原材料高騰で2桁減益に

2024.07.22

企業活動分析 カゴメ株式会社 23年12月期は引き続き海外事業がけん引し増収増益に

2024.07.19

企業活動分析 ライオン株式会社(2023年12月期) 増収も土地譲渡益の反動等で減益に

2024.07.19

企業活動分析 ユニリーバ(Unilever)(2023年12月期) 減収減益、事業部門の業績格差受け、新成長戦略を修正へ

2024.07.19

24年6月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.07.18

24年6月の「景気の現状判断」は4ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.07.17

MNEXT 円安は歓迎すべきかー過熱する円安論争

2024.07.16

企業活動分析 山崎製パン株式会社 23年12月期は大幅な増収増益で過去最高益に

2024.07.12

消費者調査データ スポーツドリンク・熱中症対策飲料(2024年7月版) 首位「ポカリスエット」、追い上げる「アクエリアス」

2024.07.11

24年5月の「消費支出」はふたたびマイナスに

2024.07.10

24年5月の「家計収入」は20ヶ月ぶりのプラス

2024.07.09

24年4月の「現金給与総額」は28ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.07.08

企業活動分析 大塚HD 23年12月期は売上は過去最高を記録、医療事業の減損損失で減益に

2024.07.08

企業活動分析 小林製薬の23年12月期は、R&Dや宣伝広告への積極投資を行い増収減益に

2024.07.05

成長市場を探せ 初の6,000億円超え、猛暑に伸びるアイスクリーム(2024年)

週間アクセスランキング

1位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

2位 2024.07.03

MNEXT コロナ禍の前中後の内食もどりはあったのか? -食欲望の現在-

3位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area