90年代、メーカー営業は、小売流通の規制緩和とグローバル競争下での組織小売業化の加速化、企業間格差拡大への対応として有力小売企業への個別対応政策を採用してきましたが、その効率は大きく低下しています。地価下落を背景に都市への人口再集中が起こっている現在、都市への人口再集中は量的、質的需要拡大と同時に商業集積の構造変化をもたらしています。具体的には商圏格差が拡大し、重層的な商圏に需要が集中することになります。現時点でもその兆候は確認でき、東京都内に形成されている約900の商業集積について上位集中化傾向を分析すると、上位30ヶ所、数にすると約3%の商業集積で全販売額の45%を占めていることがわかります。
21世紀の成長市場である都市で勝つためのメーカー営業の対応課題は、こうした商圏変動、格差拡大に対応することであり、いかに魅力度の高い商業集積で勝つか、そこでの有力個店で勝つかということになり、小商圏アプローチという視点が必要になります。
小商圏とは、個店の状況が把握可能な半径1~2㎞程度の商業集積のことを指します。小商圏アプローチとは伸びる小商圏で複数の有力拠点店を構成し、ユーザーへの徹底浸透を図るものです。これにより、都市集中化と個店格差対応、主要拠点店フォローによる効率性確保ができ、都市特性を活用した需要創造効果を狙うものですが、その分、営業の拠点店への提案能力や効率的アプローチを可能にする本社支援が必要となります。
小商圏において有力拠点店の店頭を確保し、顧客浸透につなげるための具体的アプローチには四つのオプションがあります。
- エリアプロモーション
小商圏の露出効果や繰り返し露出効果を最も高めることができる方法です。 - ターゲットサンプリング
トライアルしてもらいたいターゲット層に効率的に実物接触を図ることができます。 - ターゲット拠点店攻略
ターゲット層に影響力の強い顧客グループにアプローチすることで認知・浸透率の口コミ拡大効果が狙えます。 - 店頭共同プロモーション
MD提案効果が最も期待できる方法です。
成功の鍵は、半期、年間で取り組むこと、いかに継続的な活動を続けられるかです。
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―「会うのが、いちばん。」(2021年)
- アフターコロナの営業戦略 激変市場に対応した小商圏型営業活動のすすめ(2021年)
- 営業現場の科学
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