フリーミアム(Freemium)とは、基本的なサービスを無料(フリー、無料)で提供し、さらに高度な機能や特別な機能について有償で提供する(Premium、割増)ビジネスモデルを指す造語です。「商品やサービスの一部を無料で提供する」という概念は古典的なものですが、いわゆるWeb2.0以降のネットサービスと親和性が高いことや、現在強まっている節約志向にもマッチするため注目が高まっています。
このビジネスモデルの考え方は、2006年にベンチャー投資家のフレッド・ウィルソンにより以下のように提唱されています。
サービスを無料で提供し、場合によっては広告収入で支え、口コミ、紹介ネットワーク、有機的な検索マーケティングなどで非常に効率的に多数の顧客を獲得し、そして、顧客基盤に対して付加価値サービスや強化版サービスを割増価格で提供することです。
フリーミアムの手法では、無料のサービスまたは商品で大量の集客を果たし、その上で、追加のサービスや商品の購入へ誘導することで、無料のサービスの経費を補完し、利益を確保することになりますが、そのためには
- 無料のサービス自体が魅力的で、利用や導入がしやすいこと
- 有料と無料の境目が明確で有料のサービスの優位性がはっきりしていること
などが必要です。
また、フリーミアムでサービスや商品を提供する場合、何パーセントの顧客が有料のサービスや商品を購入してくれるようにするか、事前にきちんと予測を立てる必要があります。このように提供された有料サービスに対する無料サービスの比率をフリーミアム・レートといいます。
フリーミアムは、インターネット上で提供されるサービスに多くみられます。
フリーミアムの主な有料サービスには以下のようなものがあります。
- 機能強化・機能追加
フリーミアムの主要な手法で、インターネット電話サービスのスカイプは、ネット同士での通話は無料、固定電話との接続について有料で提供しています。また、フリーのソフトウェアなどでも、拡張機能を有料で提供するものもあります。 - サーバのディスク容量の追加
Yahoo!フォトなどの写真共有サービスやオンラインストレージサービス(ネット上にデータを保存できるようにするサービス)では、一定のスペースまでは無料で提供し、それを上回る利用を希望する場合は有料で提供しています。 - 広告の非表示
無料のブログやホームページなどに表示される広告を、有料版では非表示にするなどです。サイバーエージェントのブログサービスや、Yahoo!ジオシティーズのホームページ提供サービスなどが該当します。 - バリエーションの追加
オンラインゲームによくみられる手法で、ゲームへの参加と基本的なアイテムは無料で提供し、ゲーム内で有用なアイテムなどを有料で提供するなどがみられます。 - サービスの優先提供
混雑時に専用回線を使うことで、繋がりにくくなったり、接続の質が低下したりしないようにします。ニコニコ動画などが採用しています。
フリーミアムの採用は、インターネット上だけに限りません。
マクドナルドは2009年7月から、一部の時間帯に無料でコーヒーを提供し、集客増に成功しましたが、これも無料のコーヒー以外に有料の商品を購入してもらうことを目的としたフリーミアム戦略の成功例といえるでしょう。
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