富裕層の捉え方はさまざまですが、統計的に確認できるものとしては、高額納税者として捉えられる「納税額が1,000万円以上で、世帯推定年収が3,500万円以上」の層だといえます。
この層を富裕層とすると、2004年度の国税庁「全国高額納税者名簿」によれば、富裕層は全国で7万5,293人となります。富裕層の分布を47都道府県で見ると、東京が圧倒的に多く、次いで神奈川、大阪、愛知、埼玉の順で多くなっており、この5都府県で60%を占めています。最も富裕層が多い東京の中ではどうかというと、現在高額納税者が最も多く居住するのは、「六本木ヒルズ」のある六本木六丁目と「元麻布ヒルズ」のある「元麻布二丁目」の2エリアです。このエリアに東京郊外や地方から「富裕層」が集中するようになったのはここ数年の出来事です。
「格差社会」という言葉が頻繁に用いられるようになり、「中間層」が減少し「下層」と「富裕層」が拡大していると言われています。「富裕層」の60%が上位5都府県に集中していることからもわかるように、地域の経済格差が特定地域への人口移動と「富裕層」の増大を生んでいます。全国的に見れば地方から東京への人口移動、地方では人口30万人以上の都市への人口移動が起こっています。こうして都市の経済は活性化しますが、地方や郊外が衰退していきます。東京内でも地域格差が生まれています。こうした変化や移動の先駆けとなっているのが「富裕層」です。
富裕層は流行や情報に敏感に反応するという特徴があります。海外の高級ブランドが相次いで新規出店をし、トヨタの高級車レクサスが発売当時話題になるなど、「富裕層ビジネス」がもてはやされたのは記憶に新しいところです。
しかし、富裕層は日本の人口全体でみれば1%にも満たず、一般的消費財マーケティングのターゲットにはなりにくいといえます。
参照コンテンツ
- マーケティング用語集 新中流層
- マーケティング用語集 ワンランクアップ消費
- 戦略ケース 日本発のプレミアムブランドづくりに挑戦する「レクサス」(2007年)
- 戦略ケース トヨタ自動車 「レクサス」ものづくりから価値づくりへ(2005年)
おすすめ新着記事

消費者調査データ No.397 シャンプー(2023年12月版) 「パンテーン」と「ラックス」、僅差の競り合い
コロナ禍によるインバウンド需要喪失からゆっくり立ち直りつつあるシャンプー市場。調査結果は「パンテーン」が複数項目で首位を獲得したが、2位の「ラックス」との差はごくわずかで競り合いが続いている。国内メーカーでは、独立系の専業メーカーが独自のコンセプトで高いリピート意向を獲得している。

成長市場を探せ 「巣ごもり」後も割安感で堅調な家庭用冷凍食品(2023年)
2022年の家庭用冷凍食品の生産量は、前年比100.8%となる80万5,000トンで、8年連続拡大、過去最高を更新。22年からの食品全般の値上げのなかで、簡便化志向や節約志向から利用が継続されているとみられている。

消費者調査データ レトルトカレー(2023年11月版) 首位は咖喱屋カレー、リピートされる調理対応カレー
コロナ禍以降、家族の食卓への浸透が一層進んだレトルトカレー。調査結果では、咖喱屋カレーがトップを堅持する一方、再購入意向では調理対応カレーやコスパに優れるPBが上位に。家族食としての定着を裏付ける結果となった。



