ワンランクアップ消費とは、ちょっと高めな価格の商品・サービスを購入する消費スタイルを指し、ニューラグジュアリー型の消費と呼ばれることもあります。
景気回復を受け、昨年(06年)ぐらいから消費の流れが変わってきていますが、若者でもなく、シニアでもない「中の上」層のミドルが牽引する消費ということができます。
象徴的には、07年3月にオープンした東京ミッドタウン、4月オープンの新丸ビルです。それぞれターゲットを「Lifestyle Artist(一定水準の経済力を持ち、感度の高い都市生活を営んでいる人)」、「本物を知る大人」と設定しています。先行して03年にリモデルした伊勢丹新宿店メンズ館は、まさにこの層の消費を取り込んで成功してきたわけですし、4月にリニューアルオープンした新宿高島屋は伊勢丹メンズ館の男女版という展開で、ちょっと上のランクの商品を品揃えしています。
ワンランクアップ消費を行う消費者像を捉える際のキーワードとして、「趣味化」があげられます。単に値段が高めの商品・サービスが選ばれているのではなく、自分の趣味に合い、自分なりのこだわりを示せるような商品・サービスが選ばれているのです。ですから、商品・サービスへの思い入れが強いのもワンランクアップ消費の特徴です。
さまざまな商品サービス領域において、差別化のチャンスが生まれ、標準品は魅力を失います。個別性の強い趣味に対応した深い商品開発と品揃えが求められることになります。
誰もが知っているというわけではない、玄人受けするいいもの、ちょっと上のものを揃える、先にあげた、ミッドタウンや伊勢丹メンズ館が狙っているのもこの路線です。
もうひとつ特徴的なことはミッドタウンにはサントリー美術館があり、六本木ヒルズには森美術館があるように、美術とか、クラシックとか、映画とか芸術系の時間消費がついてくるということがあげられます。単なるワンランクアップではなくて、そこにカルチャーが、エンターテイメントが求められているということが言えそうです。
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