半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

最近の商談では、値引きやマージン要求がきつくなっているのですが、値下げを回避する方法はあるのでしょうか?

 はじめに、小売業がなぜ値引き要求をするのかを考えてみましょう。その理由は、売上が伸びないからであり、売上を伸ばすには価格プロモーションしかないと安易に特売などで解決しようとするからです。

 売上が伸びない理由を分析してみると、客数は横ばい、客単価が減少という構造になっていることが多いです。客単価の減少の背景には、1品当たり単価、1人当たり購入点数の双方が減少していることがあります。

 値下げ要求を回避するには、客単価減少に歯止めをかけることです。まずは、1人当たり購入点数アップを狙った提案をすることが必要です。店頭販促提案には、一般的には次の四つのタイプがあります(図表1)。

  1. 単品大量陳列型
  2. カテゴリーフェア
  3. メーカー・ブランドフェア
  4. 生活提案

図表1 店頭販促提案のタイプ
図表

 店頭提案をするわれわれも、多くの場合、単品大量陳列型が主流になっています。この場合、よほどの商品力やマーケティング投資がない限り、値引きに頼らざるを得ないのが現状です。値下げ回避の第一歩は、単品型企画からの脱却です。少なくともカテゴリーフェアを企画提案していくことが必要です。これにより、生活者への提案力が高まると同時に、購入点数アップが期待できます。

 第二の方法は、1品単価を少しでも向上させることです。先進的なメーカーはすでに売価提案を積極的にすすめています。三つの切り口が考えられます。

 ひとつは値引き幅を縮小させること。小売業は値引き価格の幅を複数パターン持っています。これをPOSデータで分析すると、値引き幅の違いほど販売数量・金額に大きな影響を与えないことが多いのです。過剰に値引きしている可能性があるのです。

 ふたつめは、特長のあるマーチャンダイジングを提案すること。競合店にはない独自のサブカテゴリーの重点販促提案やさきほどの店頭提案タイプでいえば生活提案型の売場づくりを提案することです。これにより競合店との売価を気にする度合いを少なくしていくことです。そのためには、常に競合店の店頭観察なども必要になってきます。

 三つめは、ある特定のアイテムの値引きは仕方がない、と割り切ってカテゴリーフェアなどの複数アイテム陳列やクロスマーチャンダイジングを展開することです。目玉となるアイテムで売場への立ち寄り率を高めながら、他ブランドや関連アイテムの購入促進をすすめるものです。


図表2 売価提案の可能性
図表

 価格は最大のプロモーション手段であることは間違いありませんが、使う機会をよく検討しないといけません。売場提案も価格訴求型と提案型をミックスさせた店頭販促カレンダーの提案が求められます。



参照コンテンツ


関連用語


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

2025.01.17

消費者調査データ No.419 キャッシュレス決済(2025年1月版) 利用経験ついに5割超え 「PayPay」独走態勢なるか

2025.01.16

24年11月の「現金給与総額」は35ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2025.01.16

24年11月は「有効求人倍率」、「完全失業率」とも横ばい

2025.01.15

月例消費レポート 2024年12月号 消費は足踏み状態が続いている-国内外からの物価上昇圧力は消費にマイナスの恐れ

2025.01.14

企業活動分析 マンダムの24年3月期は2期連続の増収増益、女性事業が好調

2025.01.10

24年11月の「新設住宅着工戸数」は7ヶ月連続のマイナス

2025.01.09

24年12月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のマイナス

2025.01.08

企業活動分析 富士フイルムHDの24年3月期は増収増益、過去最高を更新

2024.12.27

24年11月の「ファーストフード売上高」は45ヶ月連続のプラスに

2024.12.27

24年11月の「ファミリーレストラン売上高」は33ヶ月連続プラス

2024.12.27

消費からみた景気指標 24年10月は4項目が改善

2024.12.26

提言論文 消費者が示すサービスブランドの価値実現率-価値伝達なしの生存はない

2024.12.25

24年11月の「全国百貨店売上高」はふたたびプラスに インバウンドや冬物衣料が好調

2024.12.25

24年11月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月ぶりのプラスに

2024.12.24

24年11月の「コンビニエンスストア売上高」は12ヶ月連続のプラスに

2024.12.23

MNEXT 価値と欲望の充当関係とは何か-市民社会の基本原理

2024.12.23

企業活動分析 BYDの23年12月期はEV・PHV好調で大幅な増収増益を達成

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

週間アクセスランキング

1位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

2位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

3位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

4位 2023.07.03

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 約3割が利用する「免疫力」商品 20~30代に広がる美容・健康飲料の可能性

5位 2024.02.02

成長市場を探せ コロナ禍乗り越え再び拡大するチョコレート市場(2024年)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area