市場の多様化にともなう在庫リスクの増大は、メーカー全般にとって重要な経営課題となっています。流通にとっても、環境の不確実性の増大は、在庫投資へのリスクを吸収する手段として、情報処理能力の重要性が高まることになります。
流通側の在庫投資が減り、在庫率の水準も一貫して低下してきていますが、在庫投資循環がそのように安定化したのは、流通過程におけるPOSやEOSなどのシステムの普及があげられます。このように、流通活動においては「情報」が「在庫」に置きかわっているということが顕著になっています。
POS(POINT OF SALES) とは、販売時点情報管理と訳されます。商品についているバーコードを機械で読み取り、販売情報を収集するシステムです。毎日の商品単品ごとの売上が翌日の朝には正確に知ることができるようになり、在庫管理に大きな武器となりました。小売にとっては、売り切れという機会損失を最小限に抑えることや、死に筋商品の確実な発見が可能です。
POSを発注システムに活用したのがEOS(ELECTRONIC ORDERING SYSTEM)です。EOSとは、補充発注システムと訳され、受発注をシステム化したものです。膨れ上がった商品点数を適宜、迅速に発注することの負担が増大し、その効率化を目的としたシステムです。
POSとEOSを連動させることでより効率的なジャスト・イン・タイムを実現することも可能です。売れ筋商品を必要な数量だけ発注し、効率的な商品管理も可能になっています。しかし一方では、これらシステムの導入で、売れ筋至上主義に拍車がかかり、どの店も区別の付かない品揃えで店の特徴が薄れる危険性も指摘されています。システムと独自性のバランスが今後の課題といえそうです。
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