好調を保ってきた日常生活財では、足許で一部に悪化の動きがみられる。耐久財では好不調の格差が分かれるが、一部商品では好調が続いている。
雇用環境は改善し、収入環境は良好さを保っている。マインドも改善が続いている。
消費者物価は緩やかな上昇が続くが、輸入物価と国内企業物価の上昇ペースは落ち着いている。
マーケットでは株安、円安、金利上昇は一旦落ち着き、イールドカーブの左上方へのシフトの動きも、小休止している。
雇用・収入環境の良好さとマインド改善の持続を背景に消費を取り巻く環境は引き続き底堅く、物価上昇の沈静化により消費への悪影響の緩和も見込まれる。消費改善に向けてあと必要なのは、消費喚起への更なる政策対応の一押しである。
JMR消費INDEXは足許で、50の水準を挟んでの上下動が続いている(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、2026年6月時点で、支出関連では3指標全てが悪化となった。特に消費支出と平均消費性向の2指標は、4ヶ月連続で悪化が続いている(図表2)。
販売関連では、(チェーンストア売上高を除いた)全10指標のうち執筆時点で公表されている9指標中、改善が7指標、悪化が2指標となっており、改善の側が優勢である(図表2)。
消費支出の伸びは2026年6月に、名目と実質の双方でマイナスとなっている(図表4)。
10大費目別にみると、2026年6月時点で、名目では改善が5費目、悪化5費目となり両者が拮抗している。実質では悪化が6費目、改善が4費目となり悪化の側がわずかに優勢である。食料については、名目ではプラスだが実質ではマイナスとなっている(図表5)。
物価の動きに着目すると、2026年7月は、消費者物価の伸びは緩やかな上昇を続ける一方、輸入物価と国内企業物価の伸びはともに上昇の動きが一旦止まっている(図表6)。
財・サービス別に消費者物価の伸びの推移をみると、総合、財、サービスの伸びはいずれも上昇している。特に財では、伸びの上昇のペースが加速しつつある(図表7)。
販売現場では、小売業の売上は2026年6月も、全体でプラスが続いている。主なチャネル別では、百貨店、コンビニエンスストア、ドラッグストアはプラスを保っているが、スーパー、家電大型量販店、ホームセンターはマイナスに転じている。(図表11、図表12)。
外食売上は、2026年6月時点で、全体では息長くプラスを保っている。主要3業態別では、ファーストフードとファミリーレストランはプラスが続いているが、パブ・居酒屋は55ヶ月ぶりにマイナスに転じている。(図表20)。
耐久財では、新車販売は、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともに、伸びはプラスが続いている(図表13)
家電製品出荷について、黒物家電は3品目中、ステレオヘッドホンとスピーカシステムはプラスだが、4K対応薄型テレビはマイナスが続いている。白物家電は4品目中、ルームエアコンはプラスが続き、洗濯乾燥機もプラスだが、401L以上の電気冷蔵庫と電気掃除機はマイナスである。情報家電ではノートPCとスマートフォンはともにマイナスが続いている(図表14、図表15、図表16)。
新設住宅着工戸数は2026年6月時点で、全体ではプラスが続いている。利用関係別でも、持家、分譲住宅・マンション、分譲住宅・一戸建てのすべてでプラスを保っている(図表17)。
地域別の持家の伸びは2026年6月時点で、すべての地域でプラスが続いている(図表18)。
地域別の分譲住宅・マンションの伸びは2026年6月時点で、近畿圏とその他の地域ではプラスだが、首都圏と中部圏ではマイナスとなっている(図表19)。
消費を取り巻く環境条件をみると、雇用環境について、2026年6月時点では、失業率は横ばいが続き、有効求人倍率は上昇している(図表8)。
収入については、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額ともに息長くプラスが続いている(図表9)。
消費マインドについても、2026年7月時点で、消費者態度指数と景気ウォッチャー現状判断DIはともに上昇が続いている(図表10)。
マーケットの動きとして、まず円ドル為替レートと日経平均株価の推移をみると、為替は7月に入って以降も円安傾向で推移し一時は164円台をうかがう動きも見られたが、7月30日からの日銀による円買い介入を契機に円高が進み、8月3日には終値で157円16銭まで戻した。その後は再び反転し円安の動きが徐々に進んだが、足許では一旦落ち着き159円近傍で推移している。8月21日時点の終値は1ドル158円93銭である(図表21)。
株価は、6月25日に終値で72,366円34銭を付けたのをピークに、7月に入って以降も、大幅な上下動をしつつ低下傾向で推移してきた。7月29日に終値で61,434円19銭を付けたのを境に上昇傾向で推移した後、7月17日に終値で69,220円25銭を付けたのをピークに再び低下に転じたが、足許では一旦下げ止まっている。8月21日時点の終値は66,016円36銭である(図表21)。
日米の長期金利の推移をみると、米国債10年物金利は6月26日に終値で4.372%を付けて以降、緩やかな上昇傾向で推移している。8月21日時点の終値は4.738%である。(図表22)。
日本国債10年物金利は7月15日に終値で2.697%を付けて以降、上昇傾向で推移してきたが、8月18日に終値で2.934%を付けたのをピークに低下に転じ、足許では一旦下げ止まっている。8月21日時点の終値は2.882%である(図表22)。
日米金利差は7月中旬以降1.8%台へと上昇し、一時は1.9%台に乗せる動きもみられたが、8月に入ってからは1.7%台後半から1.8%台後半の間で推移している(図表22)。
日本国債のイールドカーブの変遷をみると、2026年6月2日以降、上下動を繰り返しつつ、左上方へと徐々にシフトしていき、2026年8月18日には2026年に入り最も高い位置にまで到達している(図表23)。
総合すると、消費は一旦足踏み状態となっている。
支出全般の伸びはマイナスとなっており、費目別では悪化の側がわずかに優勢となっている。
これまで好調を保ってきた日常生活財では、足許で一部に悪化の動きもみられる。他方、耐久財では商品間で好不調の格差が分かれるものの、自動車と住宅では好調が続いている。
雇用環境では改善の動きがみられ、収入環境は良好さを保ち続けている。マインドも改善が続いている。消費者物価では緩やかな上昇が続いてはいるが、輸入物価と国内企業物価の上昇のペースは一旦落ち着きつつある。
マーケットでは、株安、円安、金利上昇の動きは、一旦落ち着いている。再び強まった日本国債のイールドカーブの左上方へのシフトの動きも、小休止している。
雇用・収入環境の良好さとマインド改善の持続を背景に、消費を取り巻く環境は引き続き底堅さ保っている。円安の沈静化を後押しに、物価上昇の動きも落ち着いてくれば、今後の消費への悪影響も徐々に和らいでくると見込まれる。消費改善に向けてあと必要なのは、消費喚起への更なる政策対応の一押しである。








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