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公開日:2025年12月25日

月例消費レポート 2025年12月号
強まる消費回復の動き - 実質収入の持続的上昇に向けた成長戦略の実施が急務
主任研究員 菅野 守

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 支出全般の伸びは名目と実質でともにプラスが続いている。

 日常生活財はプラスを保ち、耐久財でも一部で改善の動きが進む。

 雇用環境とマインドは方向感が定まらないが、収入環境は良好さを保っている。

 物価の伸びは横ばい傾向にあり、輸入物価への上昇圧力は沈静化しつつあるが、物価上昇の消費への悪影響は食料で長期化している。

 マーケットでは株価の乱高下や円安への揺り戻しの動きがみられるとともに、長期金利の上昇ペースの加速で、インフレ期待や金利上昇予想は益々強まっている。

 手取り収入の増加に向けた、高市政権による政策対応は着実に進んでいる。今後は消費の中長期的成長の実現に向けて、実質収入の持続的上昇のための成長戦略の設計・実行が急務となる。

 JMR消費INDEXは2ヶ月連続で上昇している(図表1)。

 INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、支出関連では2025年10月は3指標すべてが改善している。雇用関連の2指標は、2025年6月以降悪化が続いている(図表2)。
 販売関連では、2025年10月は、(チェーンストア売上高を除いた)全10指標中、改善が7指標、悪化が3指標となり、改善の側が優勢である。2025年11月は、公表済みの5指標を見ると、改善が3指標、悪化が2指標となり、改善の側が優勢である(図表2)。

 消費支出の伸びは名目と実質ともにプラスが続いている(図表4)。

 10大費目別では、2025年10月は、名目では改善の側が優勢であるが、実質では悪化の側が優勢である(図表5)。
 特に食料では、名目がプラスで実質がマイナスの状況が続き、名目と実質の伸びの差も引き続き突出して高く、物価上昇の悪影響が長期化している(図表5)。

 物価の動きに着目すると、輸入物価の伸びは引き続きマイナスであり、伸びの変化も頭打ちとなっている。国内企業物価と消費者物価の伸びは緩やかなプラスが続いている(図表6)。

 財・サービス別に消費者物価の伸びの推移をみると、2025年11月は総合の伸びはわずかに低下している。サービスの伸びは緩やかな上昇を続ける一方、財の伸びは緩やかな低下が続いている(図表7)。

 販売現場では、小売業の売上は全体でプラスが続き、主なチャネル別でも6つのチャネルすべてプラスである(図表11図表12)。

 外食売上も、全体でも主要3業態でも揃って、息長くプラスを保っている(図表20)。

 耐久財では、新車販売は乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともにマイナスである(図表13

 家電製品出荷について、2025年11月時点では、黒物家電は3品目中2品目でプラスとなっており、白物家電は4品目中3品目がプラスの状況が続いている。情報家電では、ノートPCはプラスが続き、スマートフォンは5ヶ月ぶりにプラスに転じている(図表14図表15図表16)。

 新設住宅着工戸数は、全体ではプラスとなっており、利用関係別では特に分譲住宅・マンションでの伸びの高さが際立っている(図表17)。

 地域別の分譲住宅・マンションの伸びは、首都圏、中部圏、近畿圏、その他、の四つの地域全てでプラスである(図表19)。

 消費を取り巻く環境条件をみると、雇用環境について、有効求人倍率は悪化しているが、失業率は横ばいとなっている(図表8)。

 収入については、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額ともにプラスが続いている(図表9)。

 消費マインドについては、消費者態度指数はともに上昇を続けているが、景気ウォッチャー現状判断DIは2025年11月時点で低下している(図表10)。

 マーケットの動きとして、まず円ドル為替レートと日経平均株価の推移をみると、為替は2025年11月下旬頃を境に円安から円高に転じ、12月中旬ごろにかけて円高傾向で推移してきた。その後、再び円安へと大きく振れたが、足許では若干円高方向への揺り戻しがみられる。株価は10月31日をピークに12月中旬ごろにかけて下落傾向で推移してきたが、その後は5万円を挟んでの乱高下が続いている(図表21)。

 日米の長期金利の推移をみると、米国債10年物金利は5月21日をピークに低下傾向で推移してきたが、10月下旬頃を境にきわめて緩やかながら上昇傾向に転じ、12月上旬頃からは横ばい傾向にある。日本国債10年物金利は10月半ば頃以降、上昇のペースが加速し、12月19日以降は2%台に乗せている。日米金利差も縮小を続け、直近では2.1%前後となっている(図表22)。

 日本国債のイールドカーブの変遷をみると、2025年7月1日の位置から若干の上下動を経て、2025年12月22日には左上方へと大きくシフトし、10月8日時点のイールドカーブとの差も全体的に一層広がっている(図表23)。



 総合すると、消費は回復の動きが強まっている。
 支出全般の伸びは、名目と実質でともにプラスが続いている。
 日常生活財はプラスを保っている。耐久財では引き続き好不調の格差がみられるものの、特に家電では改善の動きが進んでいる。
 雇用環境とマインドは方向感が定まらないが、収入環境は良好さを保ち続けている。
 物価の伸びは概ね横ばい傾向にあり、中でも輸入物価への上昇圧力は沈静化の気配がみられる。ただし、物価上昇による消費への悪影響は引き続き食料で目立ち、長期化している。
 マーケットでは株価の乱高下が続くともに、為替は円高傾向から一時円安へと大きく揺り戻す動きもみられる。日本の長期金利は上昇のペースが加速し、直近では2%台に乗せている。日本国債のイールドカーブは、左上方へのシフトを続けている。シフトの幅も時間とともにより一層大きくなっており、インフレ期待や金利上昇予想は益々強まっている。
 12月16日に成立した補正予算での物価高対策や2026年度税制改正での「年収の壁」引き上げの合意など、高市政権は手取り収入の増加に向けた政策対応を現在着実に進めている。足許での物価上昇は緩やかなものに収まってはいるが、輸入物価経由での物価上昇による実質収入への下押し圧力には引き続き警戒を要する。今後、消費の中長期的成長の実現に向けて、実質収入の持続的上昇のための成長戦略の設計・実行が急務となるだろう。


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