支出全般の伸びは名目と実質でともにプラスが続き、その上昇ペースも上がっている。
日常生活財はプラスを保っているが、耐久財では好不調の格差がみられ、新設住宅着工で落ち込みが続く。
雇用環境は横ばい状況の下、収入環境は良好さを保ち、マインドも改善が続いている。
物価上昇による消費への悪影響は食料で際立つ。輸入物価の伸びはプラスへ転じそうな気配だが、輸入物価の影響は国内企業物価や消費者物価へは今のところ波及していない。
マーケットは円安・株高、長期金利上昇の傾向で推移している。株価の上昇加速で史上初の5万円台に乗せたことは、景気や消費にとって追い風である。
日本国債のイールドカーブは左上方へのシフトとともに屈折度合いもより緩やかになっており、短期的にもインフレ期待や金利上昇予想は強まりつつある。
消費への追い風は一層強まっており、高市新政権の経済政策への期待の高さから歴史的な株高も進んでいる。実質収入の増加に不可欠な、物価上昇抑制と手取り収入増加の両方の実現に向けて、財政金融政策に加え税負担引き下げ等の手取り収入増加策など、多面的な政策対応が必要となる。
JMR消費INDEXは2025年8月時点で前月7月と変わらず横ばいとなっている(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、2025年8月時点で、支出関連では3指標中、消費支出と平均消費性向は改善が続いているが、残りの預貯金は再び悪化している。雇用関連の2指標は、月間所定外労働時間と有効求人倍率ともに悪化が続いている(図表2)。
販売関連では、2025年8月は、(チェーンストア売上高を除いた)全10指標中、改善が5指標、悪化が5指標となり拮抗している。2025年9月は、公表済みの9指標を見ると、改善が5指標、悪化が4指標となり、改善の側が優勢である(図表2)。
消費支出の伸びは2025年8月時点で、6ヶ月連続で名目と実質ともにプラスとなっており、伸び率の値も上昇傾向にある(図表4)。
10大費目別では、2025年8月は名目では10費目中プラスが8費目、マイナスが2費目となっており、改善の側が優勢である。同様に実質でも、改善の側が優勢となっている(図表5)。
名目と実質の伸びの差をみると、2025年8月は、食料で+7.1%と最も高く、続く交通・通信の+3.4%を大きく上回る。食料は名目がプラスで実質がマイナスとなっており、物価上昇の悪影響が特に際立っている(図表5)。
物価の動きに着目すると、輸入物価の伸びは引き続きマイナスだが、マイナス幅は縮小し続けている。他方、国内企業物価と消費者物価の伸びはプラスで、ほぼ横ばいである(図表6)。
財・サービス別に消費者物価の伸びの推移をみると、総合と財の伸びは低下が続いてきたが、2025年9月に一旦上昇に転じている。サービスの伸びは緩やかな上昇を続けてきたが、2025年9月に低下に転じている(図表7)。
販売現場では、小売業全体の売上は、2025年8月に一旦マイナスに転じたが、2025年9月には再びプラスへ復帰している。主なチャネル別では、ホームセンターを除く残りの五つのチャネルでプラスが続いている(図表11、図表12)。
外食売上は、全体でも主要3業態でも揃って、息長くプラスを保っている(図表20)。
耐久財では、新車販売は2025年10月時点で、乗用車(普通+小型)はマイナスが続いているが、軽乗用車はプラスが続いている(図表13)
家電製品出荷について、黒物家電は2025年9月時点で、4K対応薄型テレビを除く残りの2品目はマイナスとなっている。他方、白物家電は、総じてプラスである。情報家電では、ノートPCはプラスが続いているが、スマートフォンはマイナスが続いている(図表14、図表15、図表16)。
新設住宅着工戸数は、全体では2025年4月以降、マイナスが続いている。
利用関係別でも同様に、持家、分譲住宅・一戸建て、分譲住宅・マンションすべてで、2025年4月以降マイナスが続いている(図表17)。
3大都市圏別にみると、持家は2025年4月以降、首都圏、中部圏、近畿圏、その他、の四つの地域全てでマイナスが続いている(図表18)。
分譲住宅・マンションは、2025年8月時点で首都圏、中部圏、近畿圏、その他、の四つの地域全てでマイナスとなり、2025年9月は首都圏、中部圏、近畿圏の三つの地域でマイナスである(図表19)。
消費を取り巻く環境条件をみると、雇用環境について、有効求人倍率と失業率はともに2025年9月時点では横ばいとなっている(図表8)。
収入については、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額ともにプラスが続いている(図表9)。実質賃金指数の伸びは2025年7月に一旦プラスに転じたが、翌月8月には再びマイナスに戻っている。
消費マインドについては、景気ウォッチャー現状判断DIと消費者態度指数はともに上昇を続けている(図表10)。
マーケットの動きとして、まず円ドル為替レートと日経平均株価の推移をみると、為替は2025年4月下旬頃に140円前後の水準から円安傾向に転じて以降、若干の上下動を伴いつつ、緩やかな円安傾向で推移してきた。10月に入ってからも円安は進み、10月31日時点の終値は1ドル154円となっている。株価は2025年4月上旬頃に31,000円前後から上昇に転じて以降上昇のペースが加速し、2025年10月27日には終値5万円台を突破、10月31日時点では5万2,000円台まで急伸している(図表21)。
日米の長期金利の推移をみると、米国債10年物金利は、5月21日に終値で4.595%を付けて以降低下傾向で推移してきたが、2025年10月22日に反転上昇して以降はわずかながら上昇の動きがみられる。他方、日本国債10年物金利は7月1日に終値で1.424%を付けて以降は、極めて緩やかな上昇傾向で推移している(図表22)。
その結果、日米金利差も縮小を続け、直近では2.4%前後となっている。
日本国債のイールドカーブの変遷をみると、2025年5月2日の位置から若干の上下動を経て2025年10月8日には左上方へと大きくシフトした。残存期間9年以下での金利の上昇幅がより大きなものとなった結果、2025年10月8日の位置では、残存期間10年のところでのイールドカーブの屈折度合いはより緩やかになっている(図表23)。
総合すると、消費は回復の動きが加速している。
支出全般の伸びは、名目と実質でともにプラスが続き、その上昇ペースも上がっている。
日常生活財はプラスを保っているが、耐久財では好不調の格差がみられ、特に新設住宅着工では落ち込みが続いている。
雇用環境は横ばいの状況にあるが、収入環境は良好さを保ち、マインドも改善が続いている。
物価上昇による消費への悪影響は、食料で際立っている。輸入物価の伸びはマイナスだが、プラスへと転じそうな気配にある。ただ、国内企業物価と消費者物価の伸びは横ばいで傾向にあり、輸入物価の影響は今のところ波及していない点は、消費にとって好材料である。
マーケットは円安・株高、長期金利上昇の傾向で推移している。とりわけ、株価の上昇が加速し、史上初の5万円台に乗せた点は、景気や消費にとって追い風である。日本国債のイールドカーブは左上方へのシフトが進むとともに、残存期間の短いところでの金利上昇によりその屈折度合いもより緩やかになっている。中長期だけでなく短期的にも、インフレ期待や金利上昇予想は足許で強まりつつある。
2025年10月21日に高市早苗氏が女性初の内閣総理大臣に選出された。高市政権の経済政策への期待の高さから、歴史的な株高が進んでいる。
良好さを保つ収入環境や改善が続くマインドを背景に、消費への追い風は一層強まりつつある。今後の消費拡大を盤石なものとするには、マイナスが続く実質収入の増加が不可欠であり、物価上昇の抑制と手取り収入の上昇の両方が必要となる。財政政策や金融政策などの従来的な経済政策に止まらず、税や社会保険料等の負担引き下げによる手取り収入の増加策など、多面的な政策対応が求められるだろう。








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