支出全般の伸びは、名目と実質でともにプラスが続いている。
日常生活財は引き続きプラスを保っている。耐久財では好不調の格差が鮮明であり、特に新設住宅着工での落ち込みが続いている。
雇用環境とマインドは方向感が定まらないが、収入環境は底堅さを保っている。
物価上昇による消費への悪影響は、光熱・水道で特に強く残っている。ただ、輸入物価の伸びはマイナスが続くとともに、国内企業物価と消費者物価の伸びも緩やかな低下傾向が続いている。物価上昇の勢いは明らかに弱まってきている。
マーケットは株高、円安の傾向で推移してきたが、8月に入り米国での景気減速懸念を受けて、円高・株安の動きも一時的にみられた。日本国債のイールドカーブは2025年7月以降、左上方へのシフトが目立ってきており、日銀の利上げ観測もその流れを後押ししている模様だ。
参院選後、与野党双方で、物価高対策含め政策実現への動きは遅々として進まない。好調を続けてきた日本の景気や消費の回復の勢いが、選挙後の政治停滞で削がれることだけは、何としても避けたいところである。
JMR消費INDEXは2025年5月時点で60.0となっており、2ヶ月連続で上昇している(図表1)。
JMR消費INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、2025年5月時点で、支出関連では3指標中、消費支出と平均消費性向の2指標は3ヶ月連続で改善となったが、残りの預貯金は悪化が続いている。雇用関連の2指標のうち、月間所定外労働時間は一貫して悪化が続いている。有効求人倍率は2025年4月以降2ヶ月連続で改善が続いていたが、直近の2025年6月は悪化となった(
販売関連では、2025年5月は、(チェーンストア売上高を除いた)全10指標中、改善が6指標、悪化が4指標となっており、改善の側が優勢である。2025年6月は、全10指標中9指標が確定しており、改善が4指標、悪化が5指標となっており、現状では悪化の側が優勢である。執筆時点では未公表の旅行業者取扱額次第で、このまま悪化が進むか拮抗状態まで戻せるかが、分かれてくる(図表2)。
消費支出の伸びは2025年5月時点で、名目は7ヶ月連続でプラスとなり、実質は3ヶ月連続のプラスである(図表4)。
10大費目別では、2025年5月は、名目では10費目中プラスが8費目に対しマイナスが2費目、実質ではプラスが6費目に対しマイナスが4費目となっており、名目と実質ともに改善の側が優勢である。(図表5)。
名目と実質の伸びの差をみると、2024年5月は、光熱・水道で+7.6%と最も高く、食料で+6.6%と続く。特に光熱・水道は、名目がプラスで実質がマイナスとなっており、物価上昇の悪影響が引き続き強く残っている。他方、食料は、実質でもわずかながらプラスを保っている(図表5)。
物価の動きに着目すると、輸入物価の伸びは5ヶ月連続のマイナスである。伸びの値も5ヶ月連続で低下している。国内企業物価と消費者物価の伸びはプラスだが、伸びの値はともに4ヶ月連続で低下が続いている(図表6)。
財・サービス別に消費者物価の伸びの推移をみると、2025年6月時点で、総合と財の伸びはプラスだが、伸びの値は5ヶ月連続で低下している。他方、サービスの伸びもプラスであり、伸びの値はわずかながら上昇を続けている(図表7)。
販売現場では、小売業全体の売上は2025年6月時点で、プラスが続いている。チャネル別では、百貨店は5ヶ月連続でマイナスだが、残りの5つのチャネルは揃ってプラスが続いている(図表11、図表12)。
外食売上は、全体でも主要3業態でも、2022年3月以降は揃って、息長くプラスを保っている(図表20)。
耐久財では、新車販売は2025年6月時点で、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともに、伸びは6ヶ月連続でプラスとなった(図表13)。
2025年8月1日に公表された2025年7月分については、乗用車(普通+小型)で96.0%、軽乗用車で97.0%となり、2025年7月はマイナスに転じている。
家電製品出荷について、黒物家電は2025年6月時点で、4K対応薄型テレビはプラスだが、残りの2品目はマイナスとなっている。他方、白物家電は、401L以上の電気冷蔵庫とルームエアコンはプラスだが、洗濯乾燥機と電気掃除機はマイナスである。情報家電では、ノートPCは2024年7月以来プラスが続いている。スマートフォンは2025年5月に、再びプラスに戻している(図表14、図表15、図表16)。
新設住宅着工戸数は、全体では2025年6月時点で3ヶ月連続のマイナスである。利用関係別でも2025年6月時点で、持家、分譲住宅・一戸建て、分譲住宅・マンションすべてで3ヶ月連続のマイナスである(図表17)。
3大都市圏別にみると、持家は2025年6月時点で、首都圏、中部圏、近畿圏、その他、の4つの地域全てで3ヶ月連続のマイナスである(図表18)。
分譲住宅・マンションも2025年6月時点で、首都圏、中部圏、近畿圏の3つの地域で3ヶ月連続のマイナスである(図表19)。
消費を取り巻く環境条件をみると、雇用環境について、有効求人倍率は2025年6月時点で2ヶ月連続低下している。他方、完全失業率は2025年3月以降、横ばいが続いている(図表8)。
収入については、現金給与総額は41ヶ月連続プラス、所定内給与額は43ヶ月連続のプラスとなった。超過給与額の伸びも2ヶ月連続のプラスである(図表9)。
消費マインドについては2025年6月時点で、景気ウォッチャー現状判断DIと消費者態度指数はともに2ヶ月連続の上昇となった(図表10)。
2025年7月31日に公表された、消費動向調査2025年7月分については、消費者態度指数は33.9となり、前月6月よりも低下している。
マーケットの動きとして、まず円ドル為替レートと日経平均株価の推移をみると、為替は2025年4月末頃に円安に転じ、その後は若干の上下動を伴いつつ、2025年7月末にかけて円安傾向で推移している。株価は2025年4月末頃以降、2025年7月末にかけて上昇傾向で推移してきた。特に7月23日以降は、株価は4万円台を維持し続けてきた(図表21)。
その後も株価は4万円台後半を維持していたが、8月1日に米国雇用統計で労働市場の減速を示唆する内容が示されたのを受けて、週明け8月4日には株価は一時4万円を割り込む状況となった。米国内ではFRBに対し利下げの圧力も強まり、円ドル為替相場は1ドル147円台へと円高方向に振れる展開となっている。
日米の長期金利の推移をみると、米国債10年物金利は5月21日に終値で4.595%を付けたのを境に低下傾向に転じたが、6月30日には4.231%を付け上昇に転じた。その後は若干の上下動を伴いつつ、7月下旬以降は横ばい傾向で推移してきた。他方、日本国債10年物金利は2025年5月22日に終値で1.573%を付けて以降、低下傾向で推移してきたが、7月1日に終値で1.419%を付けて以降は、若干の上下動を伴いつつも上昇傾向で推移してきた(図表22)。
8月に入り、米国債10年物金利は4.2%台へと若干低下する一方、日本国債10年物金利は1.56%前後の横ばい傾向で推移している。
日本国債のイールドカーブの変遷をみると、2025年4月7日には2025年に入って以降で最も右下方に位置付けられたが、若干の上下動を経て5月22日には左上方へと大きくシフトした。その後は再び右下方へとシフトし7月21日時点の位置まで下がったが、再び上昇に転じ、7月25日には5月22日時点よりも更に左上方へと大きくシフトしている(図表23)。
総合すると、消費は回復の動きが持続している。
支出全般の伸びは再び、名目と実質でともにプラスが続いている。10大費目別でも、名目と実質ともに改善の側が優勢となっている。
日常生活財は引き続きプラスを保っている。耐久財では好不調の格差が鮮明であり、特に新設住宅着工での落ち込みが続いている。
雇用環境とマインドは方向感が定まらないが、収入環境は底堅さを保っている。
物価上昇による消費への悪影響は、光熱・水道で特に強く残っている。ただ、輸入物価の伸びはマイナスが続くとともに、国内企業物価と消費者物価の伸びも緩やかな低下傾向が続いている。物価上昇の勢いは明らかに弱まってきている。
マーケットは株高、円安の傾向で推移してきたが、8月に入り米国での労働市場減速のニュースに伴う景気減速懸念を受けて、足許では円高・株安の動きも一時的にみられた。日本国債のイールドカーブは2025年7月に入って以降、左上方へのシフトが目立ってきている。日銀による利上げの観測も、その流れを後押ししている模様だ。
7月20日投開票予定の参議院議員選挙の結果、自公政権は衆議院と参議院の両方で少数与党の立場に追い込まれることとなった。だが、選挙での最大の焦点となった物価高対策は、与野党双方とも、政策実現への動きは遅々として進まない有様となっている。
好調を続けてきた日本の景気や消費の回復の勢いが、選挙後の政治停滞で削がれることだけは、何としても避けたいところである。
今回の参院選後の政治情勢をめぐっては、世論調査で「自民党支持層における高市早苗氏支持率が低い」という結果がたびたび報じられた。その背景には、近年の政党支持基盤の変化がある。かつて高市氏を熱心に支えた保守系有権者の一部が、現政権への失望から他党や無党派へと流出しており、「自民支持層」という測定枠の外側で高市氏支持が維持・拡大している。このため統計上は自民党内での支持率が低下して見えるが、実際の支持の熱量は必ずしも衰えていない(参照:なぜ自民支持層で高市氏支持が低く、首相続投が相半ばするのか - 「見落としがちな理由」)。
こうした支持層の再編は、日本政治における保守の概念変化を映し出している。従来の安定志向に加え、新たな変化を志向する層が保守の内部に生まれており、SNSなどのネットメディアがその動きを媒介している。政治的停滞の中で、こうした構造変化は今後の政策形成や消費マインドにも影響を及ぼす可能性がある。








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