-消費は雇用・収入環境やマクロ経済動向の追い風を活かし切れずにいる
3月21日に、全国で最も早い桜の開花宣言が、東京都心から、例年になく早いタイミングで出された。気ぜわしく近づいてくる春の足音に比べ、消費回復の足取りは重いままである。バブル期に匹敵する好調さが続いている雇用環境を筆頭に、消費を取り巻く環境は概ね良好に推移している中で、消費は回復への道筋から取り残されたままとなっている。
他方で、政府並びに日銀の景況判断をみると、基本的に、「景気は、緩やかな回復基調が続いている」並びに「先行きとしては、緩やかな拡大に転じていく、または、緩やかに回復していく」との見方を、両者とも堅持している。政府では、2017年3月分の月例経済報告で、個人消費と企業収益で上方修正の判断が示されている。日銀では、2017年3月15日~16日に開かれた金融政策決定会合に伴う「当面の金融政策運営について」の報告の中で、各分野の経済動向に関する判断は、前回の1月30日~31日時点と比べるとほぼ据え置きとなってはいるが、総じて回復を示唆するコメントが続いている。
海外景気での波乱のリスクは、日本の景気と消費にも、影を落としている。時間の経過とともに、米国トランプ政権の政治手腕の拙さが明らかとなっていく中で、トランプ政権が進める政策への期待感も、徐々にはげ落ちつつある。加えて、保護主義的な通商政策への傾斜を深めるトランプ政権の存在は、日本に止まらず、グローバル経済にとって重大なリスクのひとつにすらなっている。米国に限らず、欧州やアジアでも、政治と経済の双方でリスク要因がくすぶり続けており、これらも今後の消費を下押しする材料となりかねない。
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