「申酉(さるとり)騒ぐ」の相場格言通り、酉年にあたる2017年も、マーケットは波乱の幕開けとなった。初日1月4日のご祝儀相場をピークに、その後は株価の下落が続き、1月17日には18,813円53銭を付け、この2週間近くで株価は780円余りもの下落に見舞われた。その後、株価は614円程度、円ドル為替相場は2円程度の幅で、上下動が続いている。他方で、波乱多きマーケットの動向に比べれば、消費を始めとする実体経済は、年末年始にかけて、日本経済全体を大きく揺さぶる程のショックに特段見舞われることもなく、穏やかな凪の状態にある。
2017年1月16日の日本銀行支店長会議後に公表された「地域経済報告-さくらレポート(2017年1月)」によると、全国9地域中、東北、関東甲信越、東海の3地域では、景気情勢についての判断は、前回調査時点(2016年10月)よりも上方修正されている。残りの6地域では、景気情勢についての判断は据え置かれており、判断が悪化している地域はひとつもない。個別の需要項目での動きに着目すると、個人消費については、近畿で「一部に弱めの動きもみられる」ことを除けば、北海道、九州・沖縄の2地域では「回復」、北陸、東海、四国の3地域では「持ち直し」、東北、関東甲信越、近畿、中国の4地域では「底堅く推移している」との表現がなされるなど、全体では概ね前向きな判断が示されている。住宅投資については、北陸、中国、九州・沖縄の3地域で「増加」、東北では「高水準で推移している」、残りの5地域(北海道、関東甲信越、東海、近畿、四国)では「持ち直し」との表現がなされ、全体では改善傾向が鮮明である。
政府並びに日銀の景況判断をみると、基本的に、「景気は、基調としては緩やかな回復を続けている」並びに「先行きとしては、緩やかな拡大に転じていく」との見方を、両者とも堅持している。政府では、2016年11月分から12月分にかけての月例経済報告で、個人消費を始めとする七つの分野で上方修正の判断が示されているが、翌2017年1月には、各分野で総じて2016年12月の判断を据え置いている。日銀では、2016年12月19日~20日に開かれた金融政策決定会合に伴う「当面の金融政策運営について」の報告の中で、各分野の経済動向に関する判断として、上方修正を示唆する形への文言の修正が示されている。1月30日~31日に予定されている次回の日銀・金融政策決定会合では、2017年1月における経済動向に関する判断として、少なくとも、2016年12月時点での判断を据え置く可能性が高いと予想される。
ただし、今後の景気と消費の先行きを左右するリスク要因として、海外の経済動向の影響、とりわけ、米国発の「トランプリスク」の見極めが重要であることは、政府や日銀に止まらず、内外のエコノミストやマーケット関係者の間でのコンセンサスになっていくと目される。
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