半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2010.05)
伸びるローカル流通
第1部 4期連続増収チェーンの施策とは
流通研究チーム

1.苦戦する大型小売店
 2008年9月のリーマン・ショックを契機とする株価の暴落に端を発した世界同時不況の波を受け、国内景気は低迷した。一部で景気は回復の兆しをみせているといわれるが依然、 厳しい状況が続いている。経済産業省の商業動態統計の2009年回顧によれば、同年の商業販売額は、493兆7,960億円で対前年比は実に▲20.5%。7年ぶりの減少ではあるが、その減少率は大きい。このうち、小売業販売額には132兆3,280億円、対前年比▲2.3%で、こちらは2年ぶりの減少となっている。2010年に入り、やや持ち直してきてはいるが、総じて流通業は厳しい環境下にある。
 小売業の業種別にみてみると、2009年後半において環境対応車の販売が好調になった自動車小売業と、エコポイント対象商品の薄型テレビや電気冷蔵庫の販売好調であった機械器具小売業の販売額は増加したが、原油価格高騰の反動でガソリンなどの石油製品価格が低水準となった燃料小売業や消費者の節約志向や天候不順の影響を受けた各種商品小売業、ゲーム機関連商品などが不調であったその他小売業などは苦戦している。
 大型小売店も苦しい。販売額は19兆7,786億円、対前年比▲5.6%と2年連続の減少。既存店ベースでは、同7.0%と18年連続での減少となった。大型小売店を業態別にみると、まず、百貨店ではセールや催事効果はみられたものの、消費者の買い控え、天候不順、高額商品の販売不振などで、前年比▲11.2%で12年連続の減少となった(既存店ベースでは、同10.1%。13年連続の減少)。スーパーでは、外食から内食への回帰に伴い飲食料品は比較的堅調であったが、衣料品は低価格化や天候不順の影響で売上が伸びず、対前年比▲2.1%となり、3年ぶりの減少となった。スーパーの既存店ベースでも、同5.0%で、こちらは、18年連続の減少となった(図表1)。

図表1.商業販売額の推移と大型小売店の販売額の推移
出所:経済産業省商業動態統計調査


 さらに、これまで成長基調で推移してきたコンビニエンスストアでは、年間商品販売額は7兆9,808億円で対前年比0.5%となった。辛うじて11年連続での成長となっている。しかし、内食回帰の影響を受け、ファストフード・日配食品が不調となり、同商品カテゴリーの年間販売額は2兆6,978億円、対前年比▲2.1%で、同調査開始以来となる11年ぶりの減少に転じた。
 2010年に入り、1~3月期の動向を確認すると、商業販売金額全体では122兆8,320億円(対前年同期比▲0.8%)、卸売業では89兆250億円(同▲2.4%)、小売業は33兆8,070億円(同3.7%)となっている。卸売業と比べ、小売業にはやや持ち直しの感がある。自動車小売業、燃料小売業、機械器具小売業などは好調である。しかし、大型小売店は、4兆6,990億円(同▲4.9%)と引き続き苦戦が続いている。

 本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧には会員サービスご登録が必要です。

会員サービスのご案内についてはこちらをご覧ください。
会員サービスご登録済みの方は、下記をクリックして全文をご利用ください。

シリーズ 伸びるローカル流通

このコンテンツに関する必読コンテンツ


新着記事

2024.09.12

24年7月の「消費支出」は3ヶ月連続のマイナスに

2024.09.12

24年7月の「家計収入」は3ヶ月連続のプラス

2024.09.11

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 「紅麹サプリ問題」認知率は86%! 消費者の健康食品選びに変化

2024.09.11

24年6月の「現金給与総額」は30ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.09.10

24年7月は「完全失業率」は悪化、「有効求人倍率」は改善

2024.09.09

企業活動分析 ヤクルト本社の24年3月期は国内好調維持するもアジアの不振で増収減益に

2024.09.09

日本マクドナルドHD23年12月期は全店売上高、利益が過去最高を更新し増収増益へ

2024.09.06

企業活動分析 エスティローダーの23年6月期は、トラベルリテールの不調やドル高、インフレなどが響き減収減益に

2024.09.06

消費者調査データ 茶飲料(2024年9月版) 抜群の強さ「お~いお茶」、大手3ブランドが熾烈な2位争い

2024.09.05

24年8月の「乗用車販売台数」はふたたびマイナスに

2024.09.04

企業活動分析 ロイヤルホールディングス株式会社 23年12月期は人流増加で需要回復、増収増益に

2024.09.03

24年7月の「新設住宅着工戸数」は3ヶ月連続のマイナス

2024.09.02

企業活動分析 株式会社サイゼリヤ 23年8月期はアジア新規出店がけん引し増収増益

2024.08.30

月例消費レポート 2024年8月号 消費は緩やかながらも改善の動きが続いている-内需主導での景気回復への期待感

2024.08.30

消費からみた景気指標 24年6月は6項目が改善

2024.08.30

24年7月の「ファーストフード売上高」は41ヶ月連続のプラスに

2024.08.30

24年7月の「ファミリーレストラン売上高」は29ヶ月連続プラス

2024.08.29

24年6月の「旅行業者取扱高」は19年比で73%に

2024.08.29

24年6月の「広告売上高」は、2ヶ月連続のプラス

2024.08.29

24年7月の「全国百貨店売上高」は29ヶ月連続のプラス、猛暑で盛夏商材が好調

2024.08.29

24年7月の「チェーンストア売上高」は既存店で17ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

2位 2023.10.06

消費者調査データ No.393ミネラルウォーター(2023年10月版)全項目首位 一歩抜ける「サントリー天然水」、追う「い・ろ・は・す」

3位 2024.08.30

月例消費レポート 2024年8月号 消費は緩やかながらも改善の動きが続いている-内需主導での景気回復への期待感

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area