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公開日:2002年03月05日

営業現場の科学
第4回 店長・バイヤーの悩み解決!客単価アップの提案営業
営業戦略チーム 舩木

 小売業の売上高前年割れが続いている。とくに既存店で顕著である。インターネット上で既存店の売上状況が確認できた企業をいくつかピックアップしてみた。成長業態であるドラッグストアを除けば前年割れが続いている。売上高を構成する客数と客単価をみてみると、客数は伸びているものの客単価減少が既存店売上高マイナスの要因だということがわかる。成長しているドラッグストアでも同様だ。




 もはや安さだけではお客さまはものを買ってくれない。でもバイヤーや店長からの値入れなどの条件要求は激しいものがある。しかし、条件要求に応えるのが取引先への貢献ではない。取引先の悩みを解決するような提案を商談のなかに組み入れていくことが重要だ。そうすればこちらが主導権をもつことができ、売上目標を達成することができる。

 どうすればよいか?さきほどの事実が物語るように、問題は客単価をどう上げるかである。客単価は1人当たり買上点数と1品単価に分解することができる。このふたつの指標を改善することができる提案をすれば良い。

 一人当たり買上点数をあげるためには、売場づくり提案の切り口を変える必要がある。商談のしやすさから、ともすれば単品の大量陳列(しかも条件説得)になりがちな提案を変えることだ。これまでの成功例をみると、三つの方法がある。ひとつめは、カテゴリー提案である。冷凍食品なら「お弁当」「おやつ・夜食」といった切り口で複数アイテムを売場で展開することである。

 ふたつめは、生活提案型売場づくりである。具体的にいうと「精肉売場に焼き肉のたれ」「野菜売場に浅漬けの素」といったカテゴリーを超えたクロスMD型の売場展開をすることである。これを言うと、バイヤーの担当部門が違うからできない、という反論をよく聞くが、できる営業マンはそうした障害を乗り越えることで目標達成を実現しているのである。

 三つめは、メーカーフェアを提案することだ。自社商品をできるだけ多く陳列し、メーカーの主張や提案を売場で実現することだ。友好関係にある得意先に対しては、どんどん提案すべきだ。メーカーエゴが出る、なんていう話を一昔前で、小売業は売上アップを純粋に望んでいる。メーカーもこの閉塞感を打破するような提案をすべきである。

 つぎは、1品単価をどう上げるかである。このためには、こちらから最適売価の提案を積極的にすすめることだ。こんな話を聞いた。小売業の売価には、プロパー、通常エンド、チラシ、特売の4つがあるという。(順に値引率が大きくなる)これをPOSデータで分析すると、売れる価格帯は通常エンドが最適だという。その営業マンは、売価をプロパーと通常エンドのふたつにするよう提案し、成果を上げている。通常エンド以上の値引きをしてもたかが知れているわけである。しかもプライズカードやPOSのマスター登録などの店舗内作業コストも軽減化されたという。

 また目玉商品を中心に複数アイテムを陳列する手もある。これは大手ドラッグストアが得意な方法で「カテゴリーごとに目玉商品をつくり、カテゴリーの複数アイテムを陳列する」方法である。目玉商品以外の値引率は低いものの衝動買いで売れていくという。

 現実は難しいという意見はよく聞くが、文句や反論をする前に行動すべきである。理解のある店長やバイヤーには話を聞いてもらえるはずだ。目標達成のためには、これまでと同じことをしていてもダメだ。



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