![](https://www.jmrlsi.co.jp/scto/case/images/top/laundry.jpg)
洗濯市場が活気づいている。従来からのクリーニング店は減少する一方だが、コインランドリー店は増え続け、今やコンビニエンスストア業界2位のファミリーマートの店舗数と肩を並べるほどに拡大した。ライフスタイルの変化に伴い、おしゃれで清潔感のある「進化型コインランドリー」が支持されるようになり、自宅まで洗濯物を回収に来て、仕上がったら家まで届けてくれる「宅配クリーニング」が人気を集めている。"かゆいところに手が届く"サービスが、利便性を追求する消費者から注目されているようだ。
コインランドリーは、2015年時点で約1万8,000店(業界推計)が展開されている。2005年の約1万3,000店から、10年間で約5,000店も増加し、毎年5%の拡大を見せている。この伸びは今後も続くと予想され、少なくとも4万店までは飽和しないと言われている。
一方、同じ洗濯を扱う市場において、クリーニング店は減少が続く。2005年の約4万4,000店から、2013年には約3万2,000店と30%減少している。背景には、1世帯あたりのクリーニング代支出の減少がある。総務省統計局による「家計調査報告」では、2014年の1世帯あたりのクリーニング代支出額は7,164円となっており、2004年の9,942円と比較すると、10年間で30%近く減少している。さらに1994年の支出額は17,883円と、この20年間では約半分程にまで減少している(図表1)。
図表1.クリーニング店とコインランドリーの店舗数の推移
![図表](https://www.jmrlsi.co.jp/scto/case/2017/laundry-01.png)
従来、コインランドリーは、銭湯などの公衆浴場の隣に設置され、電気洗濯機を持たない独身者・単身者・学生といった層をターゲットにして普及してきた。
しかし現在は、主婦層の利用が6割を超えるという。これは共働き世帯の増加によるライフスタイルの変化が大きい。女性のパートやフルタイム勤務が増加し、現代の主婦は自宅にいる時間が以前に比べ減少した。洗濯に割り当てる時間の確保が難しくなり、結果として週末に大量の洗濯物を短時間でまとめ洗いできるコインランドリーが選ばれるようになった。
さらに、清潔志向、健康志向の高まりもコインランドリーの需要拡大の要因だ。コインランドリーの乾燥機は、80℃以上のガスの熱風で一気に乾燥させるため、ダニ・カビ・菌を一網打尽にすることができる。
花粉の飛散量の増加や黄砂の飛来により、アレルギー症状を訴える人が増えたこともあり、屋外で洗濯物を干すことを避ける傾向が広がっている。部屋干しによる生乾きを防ぐために、自宅で洗濯だけ行い、乾燥をコインランドリーで済ませるという使い方が広がってきている。
こうした主婦を中心とした洗濯に対する価値観の変化を受け、コインランドリー側も女性客を取り込むためのイメージ転換を図っている。
以前のコインランドリーのイメージは、「暗い・汚い・怖い」の3Kと言われていた。しかし、女性の利用者が増加したことで、新しいタイプのコインランドリーでは清潔感や明るさ、広さが旧来のコインランドリーとの差別化につながり、収益に直結するようになった。
まちづくりコーポレーションが運営する「エコウォッシュカフェ(ECO WASH CAFE)」では、スウェーデンのエレクトロラックス社製のハイスペックな洗濯機・乾燥機を採用しており、外観もガラス張りで中の様子がよく見え、入りやすい造りになっている。
また、ダイワコーポレーションが運営する「ランドリーデポ」では、24時間対応のカスタマーセンターや、女性が安心して使えるように監視カメラが設置されている。さらに、1日のうち3時間はスタッフが常駐し、清掃を行うことで「無人で怖い」というコインランドリーのイメージを払拭している。
こうした消費者ニーズの変化への対応が、コインランドリー市場の拡大に繋がったといえる。
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