ネスレの2016年12月期の連結決算は、引き続き厳しい環境の中、売上高895億スイスフラン(7兆7,838億円、前年比3.2%増)、営業利益137億スイスフラン(約1兆1,912億円、同2.3%増)の増収増益であった。オーガニックグロースは3.2%(為替の要因を除いた実質ベースでは2.4%増、営業利益は30ベーシズポイント改善)となった。地域別の売上では、南北アメリカで4.2%、ヨーロッパで2.0%、アジアで3.2%の成長を果たした。分野別でみると、Nestle Watersが良好なオーガニックグロースの勢いを維持し、 Nestle Nutritionもデフレ圧力がある中で成長を実現した。日本では、「ネスカフェ」と「キットカット」全般でのイノベーションとプレミアム化が奏功し、ゾーン・グループ全体双方の平均を上回る成長を果たした。ネスカフェは、2000年頃より、世界最大の食品飲料企業から、栄養、健康、ウエルネス企業へと企業セグメントを移行させつつある。栄養や機能に焦点をあてた製品だけでなく、すべての製品を 「グッドフード、グッドライフ」を提供するものとして位置付け事業展開を図っている。2017年は、将来的な利益率向上のため、組織再編費用の増大を見込んでいるが、結果としてオーガニックグロースは2%から4%、実質ベースの営業利益率は現状維持となると予想される。引き続き、将来の成長と事業運営の効率化に投資し、2020年までには1桁半ばのオーガニックグロースと大幅な構造コスト削減を目指していく。
企業活動分析レポートのダウンロードには有料の会員登録が必要です。
レポートでは企業の戦略や活動を当社独自のフレームに沿って時系列で整理しています。競合比較や業界分析などに幅広くご活用いただけます。
分析レポートのダウンロード
- バックナンバー

企業活動分析に関する基調論文
参照コンテンツ
- 戦略ケース コーヒーチェーン競争の行方 進む異業種とのボーダレス化(2018年)
- 戦略ケース 商品接点のリ・デザイン(2014年)
- 戦略ケース 勝者なきセルフ式コーヒーチェーン店の競争(2013年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第109号 チルドカップが誘うコーヒーの世界~若者中心に受容
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第100号 "脱コーヒー"で存在感増すペットボトルコーヒー
競合他社の業績と比較分析する
おすすめ新着記事

2022年、値上げの春をどう乗り切るか
原材料高、原油価格高騰に端を発する値上げは様々な商品分野に波及し、コロナ禍で持ち直しつつあった消費マインドも再悪化が懸念されている。メーカーにとっても、値上げの巧拙が業績を左右する重要な局面だ。消費者ニーズを捉えて付加価値を高め、値上げ後も選択してもらえるような価格戦略・ブランドづくりが必要になってくるだろう。この値上げラッシュを乗り切り、物価上昇・消費低迷の市場環境下でも成長につなげるためのヒントを、当社が蓄積したケース・理論から紹介する。

強い「ハーゲンダッツ」、ファンつかむPB
家計調査によると、2021年の冷菓の支出金額は2年連続で1万円を超え、食糧費に占める割合も2年連続で過去最高となった。調査結果を見ると、店頭接触や購入経験など複数の項目で「ハーゲンダッツ」が首位に。特に3ヶ月以内購入では2位の「チョコモナカジャンボ」に9.7ポイント、今後の購入意向でも同じく「チョコモナカジャンボ」に9.3ポイントの差をつけた。

人種のるつぼ「川口市」 "本当に住みやすい街"は流通戦略の新たなモデルケース
テレワークの定着で職住分離が進み、生活者のライフスタイルが変化。それに伴い、人気のエリアも変わってきている。なかでも注目の街が、東京都北区に隣接する埼玉県川口市だ。川口市は、2021年度の税収が当初見込みより34億円上回る943億円になることを発表。コロナ禍で税収が落ち込む自治体が多いなか、バブル期以来の増額補正となった。買い物面では、都市型店舗と郊外型店舗が同居する"買住近接"エリアだ。居住者も多様で、ファミリーからシニア、日本人と外国人など、様々なライフスタイルが共存。多様性の街「川口市」には、今後の流通戦略のヒントを見出すことができる。



