
バラエティシーキングとは、何かものを選ぶ際に、特定のブランドだけではなく、さまざまなブランドを購入しようとする消費者の行動特性のことです。
アメリカの消費者行動の研究者であるAssaelが提示したもので、消費者の商品への関与度(商品に対するこだわりが強いかどうか)と、ブランド間の知覚差異(ブランド間の違いを認知しているかどうか)との2軸を用いて、消費者の行動を四つに分類しています。そのうち、商品に関する関与度が低く、ブランド間の知覚水準が高い消費者には、バラエティシーキング型の購買行動がみられるとしています。
Assaelの分類にもあるように、従来、バラエティシーキングは、こだわりの弱いもの(関与の低いもの)を選ぶ際によく見られる行動だと言われてきました。それは、こだわりが低いものを選ぶときは、その時々の状況で判断し、結果としてバラエティーに富んだもの選びになっていることが多いと考えられていたためです。しかし、最近の研究ではこだわりが強いものにあえてバラエティーを求める行動も少なくないという指摘もあります。選び方の違いに着目し、ロイヤルユーザーに対して、異なるものを選ぶ傾向が強い人を「バラエティシーカー」と呼んでいますが、こだわりをもったバラエティシーカーということになります。
バラエティシーキング型の消費者は、商品への飽きや、新商品への興味、値引きや懸賞などのキャンペーンを行っているなど、いろいろな理由でブランドをスイッチしてしまいます。自社製品を愛用してくれるロイヤルユーザーになりにくいため、マーケティング的には攻略困難なタイプといえるでしょう。企業側は消費者のロイヤルティを形成するためにさまざまな戦略を駆使する必要があります。
しかし、趣味化がすすむ現代の消費においては、消費者はむしろ多様性を求めてスイッチを行う傾向があるとも考えられます。製造工程はそのままで、パッケージのリニューアルやテイストを少しだけ変化させた期間限定型の商品、数量限定品の導入などが、多様性を求める消費者の心理をうまくつかむことになります。ロイヤルティの形成もさることながら、バラエティシーキング型の消費行動を継続的に取り込むような新たな戦略も効果的であるといえるでしょう。
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