
日々の食事のなかで、望ましい食生活がおくれるよう、「食」の安全に関する知識、「食」の選び方や組合せ方などの能力・知恵を養う教育、およびそれに関連する取り組みのことをさします。2005年6月10日には、議員立法により食育基本法案が成立し、行政の「食育」に対する取り組みは強化されつつあります。
近年の日本では、単身世帯の増加や女性労働者の増加に伴い、食の外部化・簡便化が進み、食習慣や栄養バランスの乱れといった健康問題や幼少期の子供に対する親の「食の教育力」低下といった問題が顕在化しています。また、食中毒事件やBSE問題などを機に、食の安全性に対する意識や健康意識も年々高まっていく傾向にあります。これらは、国家財政における医療費負担の問題や「食」に関する情報判断能力の育成という課題へとつながっていきます。
このことから、「食」に関する意識を高め、知識を養うための「食育」を推進していくことが、重要なテーマとして取りざたされるようになりました。
「食育」は行政の取り組みにとどまらず、メーカーのコミュニケーションツールとして取り組まれてきています。
ニチレイは、2005年6月に「はぐねっと」をというサイトをオープンし、「子供の野菜嫌いを克服するには」などのテーマごとに解決方法を投稿し情報交換をする掲示板サイトや、ウェブログにて同社の商品開発担当者や材料の生産者が情報提供するコンテンツなどを展開し、食育に取り組んでいます。
カルビーは、2005年6月には、食育についての小冊子を無料配布を始めました。また、2003年から出張授業を実施しています。授業は、全国の小学校で実施され、スナック菓子について食べ方や適正な量、パッケージ表示の読み方などをテーマとして行われており、授業の内容を「カルビー食育情報」というコンテンツで公開しています。
味の素は、2005年4月から「料理のおいしい家にしよう」などをテーマとした「ビギナーズクッキングスクール」を開設しました。全国各地で主催している料理講習会の動画での配信とあわせて、家庭での食のあり方を、生活者に再考させることが狙いとなっています。
このように食育をアピールすることで、各メーカーは外食や中食の拡大により、家族がそろって家庭で食事をする「一家団欒」機会自体が減っている生活者対して、食卓風景へあこがれを醸成し、自社商品の拡販につなげる取り組みを始めています。
参照コンテンツ
おすすめ新着記事

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 成長するコーヒー市場 6つの形態が店頭に共存するワケとは?
コーヒーの国内消費量は、2022年に4年ぶりの増加に転じた。最近では大手コンビニエンスストアがコーヒーのサブスクサービスを実験的に導入する動きがみられる。今回はコンビニを中心にコーヒーがどのように買われているのか調査をおこなった。

消費者調査データ No.397 シャンプー(2023年12月版) 「パンテーン」と「ラックス」、僅差の競り合い
コロナ禍によるインバウンド需要喪失からゆっくり立ち直りつつあるシャンプー市場。調査結果は「パンテーン」が複数項目で首位を獲得したが、2位の「ラックス」との差はごくわずかで競り合いが続いている。国内メーカーでは、独立系の専業メーカーが独自のコンセプトで高いリピート意向を獲得している。

成長市場を探せ 「巣ごもり」後も割安感で堅調な家庭用冷凍食品(2023年)
2022年の家庭用冷凍食品の生産量は、前年比100.8%となる80万5,000トンで、8年連続拡大、過去最高を更新。22年からの食品全般の値上げのなかで、簡便化志向や節約志向から利用が継続されているとみられている。



