
ランチェスターの法則を研究したアメリカの数学者B.O.クープマンによって導き出された「ランチェスター戦略モデル式」により作られた市場シェア理論のことです。この理論により、市場でのポジションの意味付けと、優劣の判断をすることができます。
- 独占的市場シェア:73.9%
「独占的寡占型」と呼ばれ、首位が絶対安全かつ優位独占の状態をさします。 - 安定的トップシェア:41.7%
実質3社以上の戦いの場合、41.7%以上のシェアを取れば業界における強者となり、安定した地位を確保できます。この目標値は、一般的には「40%目標」等といって用いられることが多く、トヨタ自動車が「シェア40%の安定的な確保」にこだわっているのはこのためと言われています。 - 市場影響シェア:26.1%
この値を上回ると、激戦の競争状況から一歩抜け出した状態と判断されます。つまり、この値が強者と弱者を決定付ける基準値となります。一般にはこのレベルで業界トップであることも多く、またシェア2位であったとしても、この基準にあれば市場に影響力をもつことが可能となります。 - 並列的競争シェア:19.3%
複数企業で拮抗している競争状態の時に多いシェアで、安定的トップの地位をどの企業も得られていない状況です。この場合は、競合他社に先んじて市場影響シェアである26.1%を獲得することが目標となります。 - 市場認知シェア:10.9%
生活者において純粋想起がなされるレベルのシェアです。このレベルになると、市場において競合他社からも存在を認められるようになります。 - 市場存在シェア:6.8%
生活者において、助成想起が可能なレベルです。市場において、ようやく存在が許されるレベルとして位置付けられます。
2017年9月時点での携帯電話各社のシェア(電気通信事業者協会調べ)をみると、
- NTTドコモ :46%
- au(KDDI) :30%
- ソフトバンク :24%
となっています。
ここで、au(KDDI)のシェアをクープマン目標値でみると、市場影響シェア(26.1%)を超えています。また、1位のNTTドコモは安定的トップシェアを超える強者であることや、3位のソフトバンクが自社と拮抗する市場影響シェア(26.1%)に近いことも見て取れます。auとしては、自社に接近しつつあるソフトバンクを叩く必要がありそうです。圧倒的に差がある強者・NTTと直接競争するのは得策ではないと考えられます。
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