アコーディオン理論とは、小売の輪の理論や真空地帯理論などと同様、小売業革新の進展を説明する理論仮説です。総合的な広い商品を品揃えする小売業と、専門的な狭い商品を品揃えする小売業とが交互に出現することによって小売業革新が進展するという考え方で、E.ブランドにより提唱され、S.C.ホランダーにより命名されました。
例えば、一般店→専門店→百貨店→ブティック→ショッピングセンター→コンセプトショップといった流れで発展してきているというものです。扱い品目を増やして総合化していく過程は、ちょうどアコーディオンが広がる様子に、逆に専門化し、扱い品目を絞る過程はアコーディオンを閉じていく様子に似ていることから、このように命名されています。
このように「専門化」と「総合化」が循環すると考えると、例えば、総合化したGMSの次に食品に強みを持つ食品スーパーが台頭したことや、ショッピングセンター、メガマートの次にインターネット上の専門店が伸長するのではないかといった業態進展を捉えたり、予測したりする際の視点を持つことが出来ます。但し、当然ながら、循環理論だけで小売業態の進展を説明することはできない点には注意が必要です。1980年代前半にGMSが成長の壁にぶつかった後、DSや専門店の時代が予想され、大手GMS企業では、専門店集積型路線やDS型路線を模索しましたが、そのどちらも結果的には成功していません。
また、アコーディオン理論からは、総合化し蛇腹を広げ続ける一方では、経営資源が分散し、強みも徐々に弱まってしまうため、外部環境を鑑みながら事業を再構成し、蛇腹を縮めることにより強みを作り出すことの必要性を読み取ることができます。
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