ソフトバンクグループの2019年3月期の連結決算は、売上高9兆6,022億円(前期比4.8%増)、営業利益が2兆3,540億円(同80.5%増)の増収増益となった。売上はソフトバンク 事業、スプリント事業、ヤフー事業が増収となった一方、アーム事業とブライトスター事業はほぼ横 ばいとなった。大幅増益の主な要因はソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドからの利益(1兆2,566億円)であり、Uber、DiDiをはじめとしたライドシェア事業、インドの電子決済事業paytmといった次世代のプラットフォームを構築するAI事業の投資による増益が全体の増収増益に貢献した。また、セグメント利益は、ソフトバンク事業で404億円、スプリント事業で10億円、アーム事業で1,653億円、ブライトスター事業で 212億円、それぞれ改善、一方、ヤフー事業で414億円、 その他で682億円、悪化した。なお、アーム事業のセグメント利益には、アームの中国子会社が合弁事業化により持分法適用関連会社となったことに伴い計上した子会社の支配喪失に伴う利益1,763億円が含まれる。2019年度は、7月に「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2 」の設立を発表したが出資者が集まらず、11月に発表した2019年度中間連結決算では出資企業の株価下落により15年ぶりとなる営業赤字に転落するなど厳しい状況が続いている。これまで成長をつづけてきた同社が、この危機をどう乗り切るか、どのような立て直しを図るか、注目したい。
参照コンテンツ
- JMRからの提案 キャッシュレス競争の勝者は?―プラットフォーム視点で分析(2019年)
- MNEXT 眼のつけどころ 高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法(2018年)
- 戦略ケース 「NTTドコモがiPhone発売」報道を読む (2013年)
- 戦略ケース 北米スマートフォン市場No.1はiPhoneに勝てるか (2008年)
- 戦略ケース 「iPhone 3G」発売で大転換期を迎える日本の携帯端末市場 (2008年)
- 戦略ケース 始まった東京のスポット競争 -無線LANの急成長 (2002年)
競合他社の業績と比較分析する
おすすめ新着記事

2022年、値上げの春をどう乗り切るか
原材料高、原油価格高騰に端を発する値上げは様々な商品分野に波及し、コロナ禍で持ち直しつつあった消費マインドも再悪化が懸念されている。メーカーにとっても、値上げの巧拙が業績を左右する重要な局面だ。消費者ニーズを捉えて付加価値を高め、値上げ後も選択してもらえるような価格戦略・ブランドづくりが必要になってくるだろう。この値上げラッシュを乗り切り、物価上昇・消費低迷の市場環境下でも成長につなげるためのヒントを、当社が蓄積したケース・理論から紹介する。

強い「ハーゲンダッツ」、ファンつかむPB
家計調査によると、2021年の冷菓の支出金額は2年連続で1万円を超え、食糧費に占める割合も2年連続で過去最高となった。調査結果を見ると、店頭接触や購入経験など複数の項目で「ハーゲンダッツ」が首位に。特に3ヶ月以内購入では2位の「チョコモナカジャンボ」に9.7ポイント、今後の購入意向でも同じく「チョコモナカジャンボ」に9.3ポイントの差をつけた。

人種のるつぼ「川口市」 "本当に住みやすい街"は流通戦略の新たなモデルケース
テレワークの定着で職住分離が進み、生活者のライフスタイルが変化。それに伴い、人気のエリアも変わってきている。なかでも注目の街が、東京都北区に隣接する埼玉県川口市だ。川口市は、2021年度の税収が当初見込みより34億円上回る943億円になることを発表。コロナ禍で税収が落ち込む自治体が多いなか、バブル期以来の増額補正となった。買い物面では、都市型店舗と郊外型店舗が同居する"買住近接"エリアだ。居住者も多様で、ファミリーからシニア、日本人と外国人など、様々なライフスタイルが共存。多様性の街「川口市」には、今後の流通戦略のヒントを見出すことができる。



