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(2007.12)
2007年、印象に残ったもの
-「偽装事件」「小島よしお」「千の風になって」「Nintendo Wii」・・2007年はどんな年だったのか?
 詳細データ(単純集計表・クロス集計表)(LZH形式・有料会員サービス)
 2007年12月12日、日本漢字能力検定協会が募集する「今年の漢字」が京都・清水寺で披露されました。9万人超が応募した2007年を象徴する一文字は「偽」で、その比率は応募総数の18%を占めました。2位「食」が2%台ということからも、そのインパクトの強さをうかがい知ることができます。「偽」の意味は、広辞苑によると、「にせ。いつわり。自然でないこと。」となっています。
 当社では、2007年に人々にインパクトを残した「トピックス」「有名人」「歌」「商品」について、インターネットモニターを対象にインターネット調査を実施しました。回答方式は自由記述で、各項目それぞれについて、最も印象に残ったものひとつを挙げてもらいました。回答を集計した結果をランキング形式にまとめました。なお、調査対象者をこれまでの20-40代から、今回より20-70代以上へと広げてお届けいたします。


印象に残ったトピックス

 トップは「食品表示偽装に代表される偽造事件」で、有効回答数の1/4強を占めた。まさに「今年の漢字」を象徴するもので、回答の中で具体的に挙げられた会社名や商品名には「ミートホープ」「赤福」「船場吉兆」「白い恋人」「不二家」などがある。誰もが知っている大手菓子メーカーやブランド、そして歴史と伝統を誇る老舗の食品や料亭の産地偽装、原材料偽造、賞味期限改ざんといった不祥事が相次いで発覚し、特に食品に対する不信感が消費者の間に広がった。
 2~4位には、「安倍総理辞任・福田内閣誕生」「年金問題」「参議院選挙」という政治関連のトピックスが続いた。上半期でも、「年金問題」がトップ、「松岡利勝農相自殺」(2位)、「安倍内閣の閣僚不祥事」(6位)であった。こうした流れが7月29日の「参議院選挙(の自民党大敗)」、そして「安倍総理辞任・福田内閣誕生」へとつながっている。
 そして「年金問題」は12月に入り再燃。宙に浮く年金記録約5,000万件の照合作業について、自民党が参議院選挙時に公約した「08年3月まで」という期限に対し、舛添要一厚生労働相が「エンドレス」と記者会見で語ったのをはじめ、福田康夫首相や町村信孝官房長官などが開き直りとも取れる発言をしたことで、内閣支持率が急落している。また7位の「防衛省問題」など政府・与党が抱える難問も多く、08年にも総選挙へという流れになるのか注目される。これも公約違反や疑惑という「偽」を象徴するトピックスである。

印象に残った有名人

 トップは芸人の「小島よしお」で、有効回答数の1/4強を占めた。トピックスでも5位に入るなど、筋肉質な体を強調する「ブーメランパンツ」姿、2007年度『新語・流行語大賞』にノミネートされた「そんなの関係ねぇ!」と「おっぱっぴ~」というインパクトの強い芸風により、一躍ブレイクした。本ランキングでは、05年トップの「レイザーラモンHG」をはじめ、毎年「一発屋」と呼ばれる芸人が上位に入っている。小島よしおも自他共に認める一発屋予備軍のひとりであるが、動画共有サイト「YouTube」の週間視聴ランキングで世界5位にランクインするなど、デジタル時代のエンターテインメントを象徴するブレイクであることが注目される。
 また、トピックスと同様に、国内政治関連の人物が上位に多くランクインした。「安倍晋三前首相」(2位)、「東国原英夫宮崎県知事」(3位)、「福田康夫現首相」(7位)、「小沢一郎民主党代表」(9位)の政治家に加え、5位には防衛省問題のキーマンとも言える「守屋武昌防衛事務次官」とトップ10の半数を占めるに至った。
 また、4位の「沢尻エリカ」と8位の「朝青龍」は、その実力とは裏腹に、素行の悪さ・傲慢さにより、世間の評価を下げた。当社では、「自己実現志向の変質」ということで、自己実現志向という価値観が、自分主義的「悪い子」と立身出世的「いい子」に分裂したという仮説をもっている(「2008年の消費をどう読むか」に詳しい)。自分の可能性や私益を追求するあまり、周りに対する気配りができない。つまり、自分自身を客観視できないため、07年の流行語でいうところの「KY(空気が読めないの略)」言動をとって周囲を不快にしてしまう。これと対局の存在「いい子」の象徴が、6位の「石川遼選手(ゴルフのハニカミ王子)」である。

印象に残った歌

 トップは秋川雅史「千の風になって」で、本ランキングで唯一、上半期トップを維持した。06年末の「NHK紅白歌合戦」をきっかけに話題となったロングセラー曲は、売上枚数は100万枚(ミリオン)を越え、07年シングル盤の年間売上で1位になった(オリコン集計による)。クラシックで年間売上1位となるのはこれが初めてで、07年末の「NHK紅白歌合戦」も連続出場となった。
 2位の「おしりかじり虫」は「NHKみんなのうた」で放送された曲で、かつて日本にあったはずの「暖かな無遠慮=お節介」によって人と人をつなぐ使命を負った珍虫の難行苦行を痛快に歌っている(NHKのWebサイトより)。経済産業省が「スーパークリエータ」の称号を与えた2人組コンテンツクリエイター「うるまでるび」が作詞・作曲・アニメーション制作をした。
 上位2曲が象徴しているのは、NHKという公共放送の影響力の強さの再認識である。紅白歌合戦の視聴率低下、ひいては近年の組織内部の不祥事や疑惑報道などによりその存在が揺らいでいるが、良くも悪くも世間的な影響力を強く持ち続けていることを証明したと言える。
 3位、コブクロの「蕾(つぼみ)」は、フジテレビ系ドラマ『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』の主題歌として使われた。9位の「永遠とともに」もコブクロの曲で、こちらは4位のムーディー勝山「右から来たものを左へ受け流すの歌」とともに、藤原紀香の結婚披露宴の影響で上半期もランクインしていた。ちなみに上半期に上位に挙げられた藤原紀香の結婚関連(トピックスでは3位、有名人では1位藤原紀香/8位陣内智則)で、通年でもランクインしたのは歌の2曲だけであった。

話題になった商品

 1位と3位に任天堂のゲーム機がランクインした。「Wii」は2006年末、「Nintendo DS」は2004年末に発売された家庭用ゲーム機である。上半期もそれぞれ2、3位であり、長期間に渡って話題性を保っている。「Wii」は07年末商戦の主力商品のひとつとして、ボード状の周辺機器「バランスWiiボード」を同梱する「Wii Fit」を発売した。「Wii Fit」は運動による健康管理を目的としたゲームソフトであり、「バランスWiiボード」はプレイヤーの体重を計測し、肥満度を示す数値であるボディマス指数 (BMI) を記録する機能も搭載されている。ユーザー層の拡大に向けた展開を一貫して進める任天堂の戦略に沿ったハードとソフトであり、その成否が注目される。
 2位の「ビリーズ・ブートキャンプ」は、上半期は25%超のダントツトップであったが、年間では10%超にとどまった。6月のビリー・ブランクス隊長の来日時が話題のピークであった。当社が、この商品のヒットについて分析したところ、成功の鍵は情報の質による差別化であったと捉えている(「顧客づくりのマーケティング」に詳しい)。
 4~6位には、「薄型テレビ」「iPod・iPod touch」「ワンセグ携帯」の情報家電機器がランクインした。画面サイズの大型化が進む薄型テレビは、08年の北京五輪という大きな需要期が控えている。Apple社のiPodは相次ぐ新ラインナップの発売によって鮮度を保ち続け、「携帯音楽プレーヤー」というカテゴリーを象徴するブランドの座を維持している。またワンセグ携帯は07年が普及元年といえるが、携帯電話の機能進化スピードの速さから、携帯電話のデフォルト機能となる日も近いと推測される。いずれも「デジタル時代」の中核商品として、今後も継続したランクインが予想される。

 冒頭で述べたように07年のキーワード「偽」が、トピックスと有名人のランキングにおいて大きな影響を及ぼしていた。また同じく「今年の漢字」の3~5位、「嘘」「疑」「謝」もこうした世相を反映したものであるといえる。更に6位の「変」は「日本人の価値観」の変化、サブプライム問題や原油など世界的な原材料の高騰を背景にした様々な商品の値上げを背景に、先行き不透明感がますます強まった「日本の景気」の変動を暗示しているようにも思わる。こうした悪い流れは08年にも引きずりそうな気配がある。この停滞感を「そんなの関係ねぇ!」と一掃するような08年を期待したい。


【調査設計】
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2007年12月13日~18日
調査対象者:当社インターネットモニター 20歳以上
        全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,126サンプル
サンプル構成(%)
男女別年代比率(%)

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