半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

「NEXT VISION 2008」より
2008年の消費をどう読むか
消費研究チーム・大場美子

本コンテンツは、2007年11月22日に行われた当社イベント「NEXT VISION 2008」の講演録と、
同日使用したプレゼンテーションをもとに構成したものです。
構成
 底堅い消費
 価値意識の潮目 (六つの変化要因)
 消費意識のジレンマ
 趣味化と階層化
 まとめ
本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
メンバーシップサービス会員の方は、こちらから全文をご利用ください。
メンバーシップサービスについてはこちらをご覧ください。


図表1.2008年の消費をどう読むか
 どのようなビジネスを展開するにせよ、まずは市場、現在の消費者を理解することが大切です。
 2008年の消費をどう読むか、お手元にあります「消費社会白書2008 -多極化する消費 すすむ趣味の階層化」の分析を通じて発見できたことをご案内します(図表1)。

 お話したいことは三つあります。
 ひとつめは、価値観の潮目が変わってきているということです。「上昇志向」などの「自己実現志向」に代わって、より「公益志向」の価値意識が大勢を占めるようになってきました。このような変化がなぜ起こったのか、その要因についてもお話します。
 そして、このように価値意識が揺らぐ中、消費意識もジレンマの状況にあります。これがふたつめです。消費者のマインドは、堅実と衝動の狭間で揺れ動いています。
 最後に、このようなジレンマを解く鍵として、趣味をベースにした階層的ライフスタイルがあるということをご紹介します。

底堅い消費
図表2.底堅い消費
 はじめに、現在の消費動向を確認します。民間最終消費支出とGDPの伸び率の推移をご覧下さい(図表2)。
 ここ2~3年の継続的な傾向として、対前年成長が続いていることが確認できます。
 今後の見通しについては、賃金の伸び悩みや値上げによって消費が停滞していくという見方もされていますが、弊社では消費にもっとも強い影響を与える雇用が安定して成長し、企業業績も堅調であることから、今後も消費は底堅い成長を維持するとみています。

価値意識の潮目 (六つの変化要因)
(1) 強まる公益志向
 このように消費の底堅い傾向が続く中、価値観の潮目が変わってきています。
 消費者がふだんの生活をする上での行動規範、ベースとなっている意識が価値観です。その消費者の価値観を捉えるため、61の質問項目をもとに因子分析を行いました(図表3)。
 消費者の価値観の方向性として、もっとも大きな部分を占めているのが「公益志向」です。

図表3.主流を占める「公益志向」
  • 地球環境の保護のために取り組みたい
  • ものの豊かさより心の豊かさが大事だ
  • 義理や人情を大切にしたい

など、地球や社会、家族との共存共栄を求め、競争よりも協調を重視する価値観が消費者の意識の主流を占めています。

図表4.「自己実現志向」から「公益志向」へ
 2004年からの価値観の変化方向を辿ったのが図表4です。
 「公益志向」には多少の山谷はあるものの大きな変化はありません。一方、自分の能力や可能性を追求していく「自己実現志向」が低下していることがわかります。
 「自己実現志向」から「公益志向」へと、価値観の趨勢が変わってきた、価値観の潮目が変わってきた、と捉えることができます。


(2007.12)

本稿は当社代表・松田久一、並びに、消費研究チームのメンバーからの貴重な助言のもとに執筆されました。ここに謝意を表します。あり得べき誤りは筆者の責に帰します。

 本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧にはメンバーシップサービス会員(有料)ご登録が必要です。

メンバーシップサービス会員ご登録についてはこちらをご覧ください。
メンバーシップサービス会員の方は、下記をクリックして全文をご利用ください。


お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

新着記事

2024.07.26

消費者調査データ 炭酸飲料(2024年7月版)  首位「コカ・コーラ」、迫る「三ツ矢サイダー」、高い再購入意向の無糖炭酸水

2024.07.25

24年5月の「広告売上高」は、6ヶ月ぶりのプラス

2024.07.24

24年5月の「旅行業者取扱高」は19年比で72%に

2024.07.23

24年5月の「商業動態統計調査」は2ヶ月連続のプラス

2024.07.22

企業活動分析 キユーピー株式会社 23年11月期は海外など好調で増収も原材料高騰で2桁減益に

2024.07.22

企業活動分析 カゴメ株式会社 23年12月期は引き続き海外事業がけん引し増収増益に

2024.07.19

企業活動分析 ライオン株式会社(2023年12月期) 増収も土地譲渡益の反動等で減益に

2024.07.19

企業活動分析 ユニリーバ(Unilever)(2023年12月期) 減収減益、事業部門の業績格差受け、新成長戦略を修正へ

2024.07.19

24年6月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.07.18

24年6月の「景気の現状判断」は4ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.07.17

MNEXT 円安は歓迎すべきかー過熱する円安論争

2024.07.16

企業活動分析 山崎製パン株式会社 23年12月期は大幅な増収増益で過去最高益に

2024.07.12

消費者調査データ スポーツドリンク・熱中症対策飲料(2024年7月版) 首位「ポカリスエット」、追い上げる「アクエリアス」

2024.07.11

24年5月の「消費支出」はふたたびマイナスに

2024.07.10

24年5月の「家計収入」は20ヶ月ぶりのプラス

2024.07.09

24年4月の「現金給与総額」は28ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.07.08

企業活動分析 大塚HD 23年12月期は売上は過去最高を記録、医療事業の減損損失で減益に

2024.07.08

企業活動分析 小林製薬の23年12月期は、R&Dや宣伝広告への積極投資を行い増収減益に

2024.07.05

成長市場を探せ 初の6,000億円超え、猛暑に伸びるアイスクリーム(2024年)

週間アクセスランキング

1位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

2位 2024.07.03

MNEXT コロナ禍の前中後の内食もどりはあったのか? -食欲望の現在-

3位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area