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中国消費を牽引する若い主役「月光族」
楊 亮
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月光族のショッピング風景
 陳さんは28才、上海にある外資系化粧品会社でPRの仕事を担当している。月給は約2万元、日本円に換算すると約26万円程度で、大学卒の初任給が3万円(2,300元)程度という中国の相場から考えると、かなりの高給取りである。にも関わらず、月末になると、彼女は「お金がない」と言う。家計簿を見せてもらうと、住宅ローン3,500元、自動車ローン2,500元、洋服代6,000元、美容・フィットネスクラブ 4,000元、お付き合い2,000元......。確かにあまり残っていない。また広西省の出版会社に勤める呉さんは社会人になって6年になるが、いまだに月末になると実家からの仕送りをもらっている。「大学生の頃、毎月家から仕送りを2,000元ぐらいもらっていたのに、いま仕事しても給料は2,000元しかなく、全然足りない!」と彼は言う。上海と広西省という地域差もあり収入金額は大きく異なるものの、二人とも給料をすべて使うという点では共通だ。彼らのように、「貯金もせず、その月の給料を全部使い果たす」若者のことを、中国では「月光族」と呼んでいる。

ライブハウス「ARK」外観
ライブハウス「ARK」内部
 「月光族」は仕事をもつ20代未婚の一人っ子が多い。彼らは、中国経済が配給制度から市場経済に移行し、物質的に豊かになり始めた80年代以降に成長した。両親は、一人の子供のためにお金を惜しまず、教育費は家計の最大の出費であった。2004年の中国の貯蓄率は23%であるが、都市部と農村部で貯蓄の目的を調査した結果は、子供の教育費、老後のため、住宅の購入という順になっている。このように、何でも自分が優先された環境に慣れて育った一人っ子にとって、親の世代まで続いた"将来に備える"といった中国の伝統的な生活理念は無縁である。「月光族」が求めているのは"今日のお金と、ワンランク上の生活"なのだ。
 「月光族」の出現は、「月光経済」ともいうべき経済発展を促進してきた。上海では、「月光族」は昼間より夜間の消費比重が高い。お洒落な店、カフェ、高級レストランなどが軒を連ねる、有名な上海「新天地」にあり、「月光族」が毎晩のように訪れるライブハウス「ARK」の一晩の売上は、130万円以上と言われている。
 「月光族」のライフスタイルは、中国の若い世代に広まっている。昨年、北京、上海、広州で社会人経験4年以内の大学卒業生を対象に行われた調査によると、調査対象1,000人のうち936人が「月光族」という結果であった。

 いま北京、上海など大都市では「月光族」をターゲットとしたマンション開発が進んでいる。間取りはシングル向きで、デザインを重視し、室内のインテリア、壁の色、フローリングの素材などを好みに合わせて選択できることをセールスポイントにしている。マンションにはフィットネスクラブが付属し、24時間管理体制を採っている。
 しかし、貯金が殆どゼロである「月光族」にはマンションの頭金が払えないため、親が代わりに頭金を出しているケースが多い。また、金銭管理能力がない子供の代わりに給料の一部を管理したり、投資したりする親も最近増えてきている。
 貯金に頓着しない「月光族」も30代になると、次のライフステージに入り、結婚、住宅の購入、育児など色々現実な問題に直面するだろう。彼らのニーズの変化を受けて、マーケットはどのように変化していくだろう......。とても興味深い。
(2005.08)

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