半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2005年05月31日

営業現場の科学
第30回 交差比率を活用した売り場提案
営業戦略チーム

 交差比率とは、粗利益率×商品回転率で求められる販売効率を見る指標である。粗利率が高い商品は確かに利益を生むが、販売の現場では高粗利商品ほど回転率が悪く数が売れないということも多い。逆に、数は多く売れるが粗利は低い、いわゆる薄利多売という商品も多い。このため、特に小売業では、粗利益率と商品回転率のバランスから販売効率を見るため、交差比率という指標が用いられている。


図表.粗利益率と商品回転率による商品分類


 この指標は、メーカーの営業活動にも様々に活用することができる。例えば、ある商品カテゴリーにおける自社の販売アイテムの交差比率を算出し、それを各々の平均値によってプロットすると、販売アイテムの特徴を掴むことが出来る(図表)。できれば、自社の販売データだけでなく、販売先から実データを入手し、競合商品も含めた分析をしたい。但し、「見せ筋」には、「死に筋」が含まれている可能性もあるため、商品ライフサイクルも勘案して「見せ筋」に分類されたアイテムをチェックしておく必要がある。

 スーパーなど小売店を通じて商品を販売している消費財メーカーの営業を例に、交差比率を活用した売り場提案の基本を整理すると、つぎの通りである。但し、これまでの店頭販促の結果を十分に検討しておくことが肝要である。

 「稼ぎ筋」は、エンド陳列やPOPを活用したより積極的な販促展開を提案する対象である。催事やシーズンなどの条件も考慮の上、適切なテーマを設定したエンド企画を「稼ぎ筋」アイテムを基軸に展開することで、店側にマグネットとなる売り場を作り出せる可能性が高い。

 「売れ筋」は「薄利多売」、「儲け筋」は「厚利少売」という側面を持っている。売り場提案では「売れ筋」は現状維持とし、「儲け筋」は価格設定の検討と露出拡大策による回転率向上の提案が基本である。エンド陳列が難しい場合でも、中エンドやプロパーでのゴールデンゾーンへの移動やフェイス数拡大などを提案していく。

 最後に、「見せ筋」であるが、売り場で意味のある「見せ筋」としての機能(一定の集客がある、固定ファンが存在するなど)を果たしていない場合は、思い切ったカットや別アイテムへの入れ替え提案も考える必要がある。

 自社の販売アイテムが販売先にとってどのような貢献をしているのかという視点から、改めて提案をしていく場合、交差比率は様々なヒントを与えてくれる。



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

2023.12.01

MNEXT 大転換期の価値マーケティング(2023年)

2023.12.01

消費者調査データ No.397 シャンプー(2023年12月版) 「パンテーン」と「ラックス」、僅差の競り合い

2023.11.30

月例消費レポート 2023年11月号 消費は足踏み状態が長引きつつある-年末・年始の活況を契機としたマインド改善が消費復調への足がかりに

2023.11.30

23年10月の「ファーストフード売上高」は32ヶ月連続のプラスに

2023.11.30

23年10月の「ファミリーレストラン売上高」は20ヶ月連続プラス

2023.11.29

企業活動分析 日産自動車株式会社 23年3月期決算は円安追い風で増収増益に

2023.11.28

消費からみた景気指標 23年9月は9項目がプラスに

2023.11.27

23年10月の「全国百貨店売上高」は20ヶ月連続のプラス、インバウンドや高額商品好調

2023.11.27

23年10月の「チェーンストア売上高」は既存店で8ヶ月連続のプラス、食料品が好調

2023.11.27

23年10月の「コンビニエンスストア売上高」は20ヶ月連続のプラス、好天や行楽需要で食品好調

週間アクセスランキング

1位 2023.11.15

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 食卓に浸透する市販の惣菜 4割弱が週1回以上惣菜を購入

2位 2022.03.11

女性が生み出す6.9兆円の市場―アフタヌーンティーは都心高級ホテルを救えるのか 第1回

3位 2008.07.24

戦略ケース カルフールは何故失敗したのか?

4位 2016.03.16

【マーケティングFAQ】どうすればブランド力を強化できるか

5位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area