すべての製品にはライフサイクルがあります。ほとんどの場合、製品は、導入、成長、成熟、衰退期からなるライフサイクルをたどると考えられています。縦軸に売上を、横軸に時間の経過をとって、売上の推移をおいかけるとライフサイクルのカーブが表れます。
技術革新による製品進化のスピードが速い、AV関連市場においては、短期間に製品ライフサイクルが変化し、サイクルの途中で新しいサイクルがはじまるパターンがよくみられます。モバイルオーディオにおける、いわゆるウォークマンのカセットテープタイプから、CD、MD、MP3といった製品タイプが次々に市場導入され主導タイプが転換しながら、製品タイプの多様化がおこっています。
製品ライフサイクルとブランドライフサイクルは区別される必要があります。ウォークマンはソニーのブランドですが、前述したように製品形態は進化をとげ同一ブランドにおいて製品多様化を推進し、成功を収めています。製品にはライフサイクルがあってほとんどの場合衰退期がやってきますが、ブランドはメーカーの主体的な意志と戦略と適切なマネジメントによって維持拡大し、ロングセラー化することが可能です。新ブランド投入には多くのコストがかかります。メーカーとしてはリスクをできるだけ避けるため、導入したブランドはロングセラー化をねらいます。そのためには、製品ライフサイクルの各段階を適切にマネージメントする必要があります。
ブランドロングセラー化のためのライフサイクルマネジメントは、当該ブランドの受容層を見極めて、層の深掘(特定顧客層での浸透率をあげる)、層の拡大(現在の受容層を維持しながら新たな顧客層にアプローチする)、層の転換(現在の顧客層を捨てて、新たな顧客層に浸透を図る)のいずれかの政策判断を行い実行することにあります。市場の成長率や競争状況は、製品ライフサイクルのステージによって大きく異なります。製品ライフサイクルを見極めながら、受容層の層転移をうまく行い、マーケティングミックスを微調整していくことがブランドを衰退させない鍵です。
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ ブランドのロングセラー化の鍵は「うまいマンネリ」づくり
- MNEXT 眼のつけどころ BABYMETALのロングセラー化戦略を考える
- マーケティング用語集 ブランドマーケティング
おすすめ新着記事

消費者調査データ No.397 シャンプー(2023年12月版) 「パンテーン」と「ラックス」、僅差の競り合い
コロナ禍によるインバウンド需要喪失からゆっくり立ち直りつつあるシャンプー市場。調査結果は「パンテーン」が複数項目で首位を獲得したが、2位の「ラックス」との差はごくわずかで競り合いが続いている。国内メーカーでは、独立系の専業メーカーが独自のコンセプトで高いリピート意向を獲得している。

成長市場を探せ 「巣ごもり」後も割安感で堅調な家庭用冷凍食品(2023年)
2022年の家庭用冷凍食品の生産量は、前年比100.8%となる80万5,000トンで、8年連続拡大、過去最高を更新。22年からの食品全般の値上げのなかで、簡便化志向や節約志向から利用が継続されているとみられている。

消費者調査データ レトルトカレー(2023年11月版) 首位は咖喱屋カレー、リピートされる調理対応カレー
コロナ禍以降、家族の食卓への浸透が一層進んだレトルトカレー。調査結果では、咖喱屋カレーがトップを堅持する一方、再購入意向では調理対応カレーやコスパに優れるPBが上位に。家族食としての定着を裏付ける結果となった。



