半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2005年05月10日

営業現場の科学
第27回 売場ツールの目的手段関係
営業戦略チーム

 消費財メーカーの営業マンが個店で行う活動は、商品取り扱い促進(特に本部契約の定番以外の歯抜けアイテムの導入や定番登録商品の各店導入)、売れる状態づくり(棚割り確保の上で優位置取りやフェイス増)、店頭販促の実施、新規店での売場確保などが主な目的である。特に店頭販促では、誰を対象とするか(消費者か売場の販売関与者か)、場所(常設の定番棚や関連棚か、エンドや平台か、特設コーナーか)、手段(セット・クロスMD、POPサンプリング、マネキンデモ、大陳など)の組み合わせで検討することが求められてくる。

 本社から送られてくる売場ツールは、その活用方法に関する指示が添付されており、ブランドマネージャーら戦略スタッフが営業を支援するために構築した戦略シナリオに準じている。営業マンは、基本的にはこの施策の意図を汲み取り、全社のブランド戦略推進のために機能することになるが、販売の現場である売場にはそのままのプランでは導入が困難である場合も少なくない。POPを取り付けるスペースが無い、メーカー名が印刷されているポスターは掲示できない、デモ販売員派遣を急に要請された、などである。

 しかし、自社の計画と個店の条件が合わないからと言って施策展開を中止するわけにはいかないため、営業マンには現場での臨機応変な対応が求められる。そこで、目的と活用するツール類の関係を正しく捉えておく必要があるわけだが、主要な目的とツールの関係を整理してみよう。

 売場を通じて達成させたい事項は、大別すると、商品の視認率を上げる、商品特徴を正しく伝達する、価格を告知する、新発売であることを伝える、商品の使い方を提案する、特別な売り出しであることを知らせる、特典付きなどを知らせる、売場の演出を高める、ブランドのイメージアップを図る、そして、個店とのパートナーシップを強くするなどの10項目を検討してみた。そして、その目的に対して活用できるツール類をツール類の持つ特徴からまとめてみた(図表)。

 ポイントは、ツールは万能なものはなく、目的に対する期待効果によって使うものが決まってくるといった目的手段関係があるということである。何でもかんでもPOPを取付け、サンプリングをすれば良いということでないことに注意したい。そして、このように考えておけば、本社の戦略スタッフの想定外の条件を持つ売場が出てきた場合でも、目的を理解し、それに合う最適なツールを選択し、臨機応変に提案することができるはずだ。


図表.販促目的とツール・施策



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

2024.10.10

24年8月は「完全失業率」は改善、「有効求人倍率」は悪化

2024.10.09

24年8月の「消費支出」は4ヶ月連続のマイナスに

2024.10.09

24年8月の「家計収入」は4ヶ月連続のプラス

2024.10.08

企業活動分析 味の素の24年3月期は販売単価の上昇や為替の影響で過去最高益を更新

2024.10.07

MNEXT 価値の根拠は何か―欲望を充当するもの(要約版)

2024.10.07

企業活動分析 株式会社ニトリHD24年3月期は決算期変更の影響もあり減収減益

2024.10.04

消費者調査データ 紅茶飲料(2024年10月版) 首位「午後の紅茶」、「紅茶花伝」に水をあける

2024.10.03

24年9月の「乗用車販売台数」は2ヶ月ぶりのプラス

2024.10.02

24年8月の「新設住宅着工戸数」は4ヶ月連続のマイナス

2024.10.01

MNEXT 日本人消滅論の錯覚―世相批判の論理(2024年)

2024.09.30

企業活動分析 しまむらの24年2月期は全事業で既存店1店舗当たりの売上高が上昇し増収増益へ

2024.09.30

企業活動分析 ファーストリテイリング23年8月期は売上・営業利益ともに3期連続で過去最高を達成

2024.09.30

消費からみた景気指標 24年7月は7項目が改善

2024.09.30

24年8月の「ファーストフード売上高」は42ヶ月連続のプラスに

2024.09.30

24年8月の「ファミリーレストラン売上高」は30ヶ月連続プラス

2024.09.27

24年8月の「コンビニエンスストア売上高」は9ヶ月連続のプラスに

2024.09.27

24年8月の「全国百貨店売上高」は30ヶ月連続のプラス、高額品やインバウンドがけん引

2024.09.27

24年8月の「チェーンストア売上高」は既存店で再びプラスに

2024.09.26

24年7月の「旅行業者取扱高」は19年比で72%に

2024.09.26

24年7月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のプラス

2024.09.25

24年7月の「商業動態統計調査」は4ヶ月連続のプラス

2024.09.24

MNEXT 価値で捉え、群れ集団を狙えー2025年のマーケティング

2024.09.24

24年8月の「景気の先行き判断」は5ヶ月ぶりに50ポイント超え

2024.09.24

24年8月の「景気の現状判断」は6ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.09.20

消費者調査データ ミネラルウォーター(2024年9月版) 全項目首位「サントリー 天然水」、リピート意向の高いPB

週間アクセスランキング

1位 2024.10.01

MNEXT 日本人消滅論の錯覚―世相批判の論理(2024年)

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

4位 2009.05.08

中国市場の現在 世界一は中国一になれるか?-ウォルマートの上海進出

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area