規模が大きい企業ほど有利な構造を持つ文具業界で、最大手の10分の1程度の規模しかないキングジムが好調だ。
購買行動のネット化や文具を扱う大型小売店の出現を追い風に、消費者視点のニッチな商品づくり、ユニークなチャネル開発などに注力して業績を伸ばしている。同社から、製品多寡の時代で生き残るメーカーマーケティングの勝機を見出す。
今年で創業90周年を迎える文房具メーカーのキングジムは、2013~2016年度の4期連続で売上高、経常利益ともに伸ばし、4年間で16%業績をアップさせた(図表)。
図表.キングジムの業績推移

文具業界はトップシェアのコクヨをはじめ、パイロットや三菱鉛筆など、明治・大正時代から続く老舗メーカーが多い市場だ。しかし企業規模には大きな差がある。売上ベースで最大手のコクヨが約3,000億円に対して、キングジムは約340億円と10分の1程度の規模しかない。
文房具業界は企業規模がものをいう業界である。従来、文房具の主な販売チャネルは街にある小さな文具店だった。そのため各メーカーが膨大な在庫を持ち、それを卸売業が全国各地の文房具店へ卸し、消費者が買いに行くというのが一般的な流れだった。必然的に、大量生産し、大量に在庫を持ち、大量に配荷できることが競争優位につながる。そのため、キングジムのような比較的規模の小さい企業が成功することは、簡単ではない。それにもかかわらず好業績を維持している要因は、大きく三つに分けることができる。
参照コンテンツ
業界の業績と戦略を比較分析する
おすすめ新着記事

猛暑に伸びる、3年連続過去最高更新のミネラルウォーター
ミネラルウォーター市場は、コロナ禍の落ち込みからたった1年で成長軌道を取り戻し、2024年には前年比10.5%増の4,794億円余、過去最高を3年連続で更新した。背景にあるのは、続く猛暑の夏に伴う水分補給ニーズ、メガトレンドである健康志向、災害対応の備蓄などだ。

消費者調査データ 植物性ミルク 首位は「キッコーマン 豆乳」、再購入意向にはオーツやアーモンドミルクも
低カロリーで高栄養が支持され堅調に拡大する植物性ミルク。調査結果では「キッコーマン 豆乳」が全項目で首位となった。プレータイプの豆乳が上位に目立つが、再購入意向ではオーツやアーモンドミルクも上位に食い込んだ。

大阪万博を盛り上げたのはリアルなつながり 日本への期待を提示した184日間
EXPO2025 大阪・関西万博(以下大阪万博と呼ぶ)が184日間の会期を終え、10月13日に閉幕を迎える。入場チケット販売数は2200万枚を超えるなど多くの人が来場しており、誰がどのように来場し、何を感じたかを調査した。


![戦略家のための知的羅針盤[エム・ネクスト]product by 松田 久一](/img/mnext-sub-title.png)