半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2016.07)
変わる視聴率競争
-放送業界のビジネスモデル転換
本コンテンツは、「ITmedia」(アイティメディア株式会社)に2016年6月21日に掲載された記事のオリジナル原稿です。
主任研究員 菅野守

本コンテンツの全文は、有料会員サービスでの公開となっております。
ご利用には有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
ご登録はこちらをご覧ください。

はじめに

 テレビ局を取り巻く経営環境が、厳しさを増している。放送局と一心同体で、蜜月の関係を築いてきた広告代理店が、放送業界を見限り始めているからだ。Netflixをはじめとする映像配信企業の台頭で、かつてのような放送電波の希少性は低下し、番組表に合わせて視聴者をテレビの前に集めることは難しくなった。また、テレビ離れや、視聴者の高齢化で、かつてのように視聴率が番組評価の指針にならなくなってきている。一部報道では、広告代理店最大手の電通が、CM枠の買い取りを見送る旨を、フジテレビに対し通告したといわれている。

 構造変化が進む放送業界について、これからの展望と、放送局の生き残りの鍵を模索する。


放送と通信の融合で失われる放送局の優越的地位

 インターネットなどのネットワーク環境の高度化が進み、デジタル情報をいつでもどこでも自由自在に流通できる基盤が整ってきている。デジタル機器も高度化し、テキスト、音声、映像など、あらゆる情報はビットで表現できるようになった。このような環境では、テキスト情報は新聞や雑誌や書籍で、音声は電話やラジオで、映像はテレビで、というように、情報の形式によってメディアを変えるという態度は無意味になった。アナログ放送時代の電波の希少性も、事実上消滅しつつある。

 放送と通信の融合が進むことで、より大きなコンテンツ業界や情報メディア業界、という新たな枠組みが出来上がってきている。NetflixやHuluをはじめとする、内外の映像配信業者の台頭で、放送時間に合わせて、視聴者が番組をわざわざ見に来るといった行動が、ナンセンスな時代になってしまったのだ。


一般大衆の「視聴率」という最強の武器を失った放送業界

 他方で、テレビの視聴者の高齢化が進んでいる。視聴率の高さは事実上、(日本人全体ではなく)高齢層における視聴率の高さを意味する。テレビはもはや、老若男女を問わず不特定多数の幅広い視聴者を集められるツールではない。また、高齢層をターゲットとしない広告主からみれば、高齢層の視聴率の高さは、何の価値もない。番組枠やCM枠は希少性を失い、視聴率という番組評価の指針までも失われつつある。そのため、キー局は広告主や広告代理店に対する交渉力を徐々に失っていっている。

 放送局は、これまで顔の見えない不特定多数を相手に、出来るだけ高い視聴率を獲得することに汲々とし、どの局も「勝ち組」に追従し続けてきた。その結果、番組づくりの発想が極度に同質的で画一化していった。今や、放送局自体が、大多数の視聴者から見限られている。高齢の視聴者層ですら、画一的な番組編成には、明らかに愛想をつかしている。


見限られるキー局、個性重視で生き残りを図る独立局。放送業界の未来は? 
【続きを読む】(有料会員向け)

新着記事

2024.09.12

24年7月の「消費支出」は3ヶ月連続のマイナスに

2024.09.12

24年7月の「家計収入」は3ヶ月連続のプラス

2024.09.11

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 「紅麹サプリ問題」認知率は86%! 消費者の健康食品選びに変化

2024.09.11

24年6月の「現金給与総額」は30ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.09.10

24年7月は「完全失業率」は悪化、「有効求人倍率」は改善

2024.09.09

企業活動分析 ヤクルト本社の24年3月期は国内好調維持するもアジアの不振で増収減益に

2024.09.09

日本マクドナルドHD23年12月期は全店売上高、利益が過去最高を更新し増収増益へ

2024.09.06

企業活動分析 エスティローダーの23年6月期は、トラベルリテールの不調やドル高、インフレなどが響き減収減益に

2024.09.06

消費者調査データ 茶飲料(2024年9月版) 抜群の強さ「お~いお茶」、大手3ブランドが熾烈な2位争い

2024.09.05

24年8月の「乗用車販売台数」はふたたびマイナスに

2024.09.04

企業活動分析 ロイヤルホールディングス株式会社 23年12月期は人流増加で需要回復、増収増益に

2024.09.03

24年7月の「新設住宅着工戸数」は3ヶ月連続のマイナス

2024.09.02

企業活動分析 株式会社サイゼリヤ 23年8月期はアジア新規出店がけん引し増収増益

2024.08.30

月例消費レポート 2024年8月号 消費は緩やかながらも改善の動きが続いている-内需主導での景気回復への期待感

2024.08.30

消費からみた景気指標 24年6月は6項目が改善

2024.08.30

24年7月の「ファーストフード売上高」は41ヶ月連続のプラスに

2024.08.30

24年7月の「ファミリーレストラン売上高」は29ヶ月連続プラス

2024.08.29

24年6月の「旅行業者取扱高」は19年比で73%に

2024.08.29

24年6月の「広告売上高」は、2ヶ月連続のプラス

2024.08.29

24年7月の「全国百貨店売上高」は29ヶ月連続のプラス、猛暑で盛夏商材が好調

2024.08.29

24年7月の「チェーンストア売上高」は既存店で17ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

2位 2023.10.06

消費者調査データ No.393ミネラルウォーター(2023年10月版)全項目首位 一歩抜ける「サントリー天然水」、追う「い・ろ・は・す」

3位 2024.08.30

月例消費レポート 2024年8月号 消費は緩やかながらも改善の動きが続いている-内需主導での景気回復への期待感

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area