半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2011.11.30)
コンビニ大手2強の震災後のマーケティング対応


はじめに
 大手企業各社が、震災に対する各種対応策を打ち出している。マーケティング、製造・物流などバリューチェーンの主活動においては勿論、CSR活動としても、震災直後から義援金や救援物資などの支援策が相次いで発表されている。その中で、震災後比較的好調を維持しているのがコンビニエンスストア(以下、コンビニ)各社だ。2011年の3~8月期決算は、大手各社が営業利益で同期間最高益を更新するなど強さが目立つ。必需品への特需は勿論だが、近場で安心して便利に買い物が出来る社会インフラとしての価値が評価されていることが大きい。一方で、今後は消費者のそうした意識が薄らいでいくことも確かだろう。各社は、この追い風をどのように活用すべく取り組んでいるのか、本ケースはコンビニ大手2強の震災後の対応策を取り上げる。

1.グループの総合力を活かした支援、ITを核とした次世代コンビニの模索
:セブン-イレブン・ジャパン
 セブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン-イレブン)では、東北・関東エリアの店舗、ベンダー工場、配送センターの多くが被災した。そのため、直後から被災地に店舗復旧に向けて応援社員を送りこむとともに、工場や配送センターの復旧に注力した。その間の東北や関東の店舗における品薄に対しては、売れ筋商品に絞り込み供給を行うとともに、代替原料の調達や、被害のない地域の工場・配送センターからの供給を進めた。結果、4月前半には9割以上の店舗が営業を再開し、品揃えもほぼ平常並みを回復するに至っている。また、震災直後のCSR活動として、被災地に向け水、パン等の緊急輸送を行うとともに、海外も含むグループの店頭等で義援金の募金を呼びかけた。募金総額は約41億円と大きく、この辺りの支援規模は同グループの総合力ならではと言えるだろう。
 4月以降、供給が安定し、新商品の投入が再開される中で、同社は被災農家を支援するとして、東北産の米、海苔の扱いを拡大している。グループのイトーヨーカドーやデニーズ等でも東北産の商品・メニューで「応援消費」を喚起する販促が打ち出される等「コーズマーケティング」をグループ全体で展開している。
 6月には加盟店と共同で運営しているボランティア団体「セブン-イレブン記念財団」が、被災地におけるボランティア活動を実施したが、以降は目立った被災地支援のCSR活動を打ち出していない。下記に挙げる被災地の買い物支援等の取組を含め、本業と連動した支援に徹した格好と言えよう。また、震災直後から電力不足に対応した店舗の節電が進められるとともに、4月以降は夏に向けた本格節電対策として、太陽光パネル、LED等の導入を積極的に行うと発表している。
 本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧にはメンバーシップサービス会員(有料)ご登録が必要です。

メンバーシップサービス会員のご案内についてはこちらをご覧ください。
メンバーシップサービス会員の方は、下記をクリックして全文をご利用ください。



参照コンテンツ

お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

新着記事

2024.07.26

消費者調査データ 炭酸飲料(2024年7月版)  首位「コカ・コーラ」、迫る「三ツ矢サイダー」、高い再購入意向の無糖炭酸水

2024.07.25

24年5月の「広告売上高」は、6ヶ月ぶりのプラス

2024.07.24

24年5月の「旅行業者取扱高」は19年比で72%に

2024.07.23

24年5月の「商業動態統計調査」は2ヶ月連続のプラス

2024.07.22

企業活動分析 キユーピー株式会社 23年11月期は海外など好調で増収も原材料高騰で2桁減益に

2024.07.22

企業活動分析 カゴメ株式会社 23年12月期は引き続き海外事業がけん引し増収増益に

2024.07.19

企業活動分析 ライオン株式会社(2023年12月期) 増収も土地譲渡益の反動等で減益に

2024.07.19

企業活動分析 ユニリーバ(Unilever)(2023年12月期) 減収減益、事業部門の業績格差受け、新成長戦略を修正へ

2024.07.19

24年6月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.07.18

24年6月の「景気の現状判断」は4ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.07.17

MNEXT 円安は歓迎すべきかー過熱する円安論争

2024.07.16

企業活動分析 山崎製パン株式会社 23年12月期は大幅な増収増益で過去最高益に

2024.07.12

消費者調査データ スポーツドリンク・熱中症対策飲料(2024年7月版) 首位「ポカリスエット」、追い上げる「アクエリアス」

2024.07.11

24年5月の「消費支出」はふたたびマイナスに

2024.07.10

24年5月の「家計収入」は20ヶ月ぶりのプラス

2024.07.09

24年4月の「現金給与総額」は28ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.07.08

企業活動分析 大塚HD 23年12月期は売上は過去最高を記録、医療事業の減損損失で減益に

2024.07.08

企業活動分析 小林製薬の23年12月期は、R&Dや宣伝広告への積極投資を行い増収減益に

2024.07.05

成長市場を探せ 初の6,000億円超え、猛暑に伸びるアイスクリーム(2024年)

週間アクセスランキング

1位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

2位 2024.07.03

MNEXT コロナ禍の前中後の内食もどりはあったのか? -食欲望の現在-

3位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area