海外の景況感悪化や円急騰、株安など、内外の波乱要因がもたらす波紋が、日本の景気回復のシナリオに徐々に影を落としつつあります。短期的には、円・ドル相場や株価の今後の動向に加え、猛暑の余波や次回の日銀短観(2010年9月調査)の結果など、この先1~2ヶ月の動きが企業や消費者のマインドにどのように跳ね返るかが、今後、消費が回復軌道に乗るか腰折れするかの分かれ目となりそうです。 今回の臨時増刊号では「少子化世代は微熱消費」と題し、1984年以降に生まれた「少子化世代」と呼ばれる今の若者たちに焦点を当て、弊社独自の量的ならびに質的調査の結果に基づき、少子化世代の消費行動の特徴を明らかにしております。また、そうした行動を生み出す背景要因として、少子化世代がこれまでに経てきた生活体験に光をあてます。最後に、今後消費の主役として存在感を増していく少子化世代の支出の方向を探るとともに、そこから垣間見えてくる少子化世代の欲望について、彼らのファッションや音楽に対する選好を手掛かりに解釈を試みています。 バブル崩壊後、経済が長期低迷し社会不安も高まった90年代を経て、消費が好きでない世代、すなわち「嫌消費」世代が新たに台頭してきました。「嫌消費」とも呼びうる彼らバブル後世代の特徴と誕生の背景は、弊社代表・松田久一編著『「嫌消費」世代の研究』(2009)にて詳述の通りです。21世紀に入り10年を経た現在、消費の表舞台に登場してきたのが、今回焦点を当てる少子化世代です。消費行動や意識・心理面での特徴として、少子化世代は前のバブル後世代と比べどのような類似性や違いがみられるのかを理解することは、バブル後世代が生み出した「嫌消費」の流れの持続可能性も含め、これからの消費の中長期的な変化を見定める上で非常に重要となります。 新たな世代の台頭がもたらす中長期的な変化のダイナミズムを捉え、一歩先を見据えた戦略的判断と行動の一助となることを企図し、「消費経済レビュー」臨時増刊号を実務家のみなさまにお届けいたします。
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