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消費経済レビュー
IV.団塊世代のリタイアメントライフ

 約1,000万人もの規模がある「団塊」世代。団塊世代は、第二次世界大戦直後の1946年(昭和21年)~50年(同25年)に第一次ベビーブームで生まれた世代のことを指し、55歳から59歳の人である。この世代は高度成長期に就職や進学のために大量に地方から大都市へ移動し、首都圏だけを見ると、団塊世代のS35、40、45年の居住人口はそれぞれ183.3万人、244.0万人、309.9万人と急増していった。そんな彼らにもリタイアする時期がやってくる。
 巷間では50兆円とも60兆円いわれる退職金の規模が話題になるが、それはどこに行くのであろうか。今回の調査によると、退職金の使い道で上位にくるのは「預貯金(51.2%)」「住宅ローン(34.1%)」「株式や投資信託の投資(31.7%)」と、リスクを前提にした退職金の運用を考えている人が3割に達していることが分かった。
 運用などで得た資産を団塊世代はどう使っていくのか。前後の世代に比べてこの世代の特徴は「死ぬまでに使い切る」である。先輩世代にあたる飢餓世代、戦後世代、後輩世代にあたる断層世代に比べて、「使い切り」志向が高いのである。つまり、団塊世代というのは経済学でいうライフサイクル仮説(「人々は一生涯での消費額を一生涯で使えるお金と等しくなるように毎年の消費量を決める」という仮説)に従う初めて出現した層ということになる。
 団塊世代は投資以外に何をしようとしているのか。消費意欲はリタイア前後で相変わらず高いというのが結論である。この世代が今後購入を考えているのは液晶やプラズマなどのフラットテレビ、パソコン、自動車である。リタイア後という人生の整理期において、流行ものであるこれらの商品への需要が高いというのも団塊世代の特徴であるといえる。
 次に団塊世代は何をやりたいのか。調査によると、「仕事(47.5%)」「趣味や習い事(46.3%)」「夫婦での旅行(41.5%)」であり、仕事を続けていこうとする意向が高い。また、地方出身者が多い団塊世代の特徴として前後の世代よりも高いのは、「農業(17.1%)」や「田舎での隠居生活(4.9%)」というのも見逃すことは出来ない。
 リタイアする前もする後も仕事への意欲や消費意欲が変わらない団塊世代。リタイアという人生での大きな節目を迎えても、意識も意欲も特に何も変わらず、どこ吹く風というのが、この世代の特徴のようだ。

(2006.08)


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